【Photoshop初心者向け】塗りつぶしツールで縁まで綺麗に塗る方法7通り!
Photoshopユーザーの皆さん!
塗りつぶしツールを使おうとして、困ったことはありませんか?
Photoshopで線画の中を塗ろうとしたとき、初期設定のままだと必ず境界線に塗り残しができてしまいますよね。
こんな具合に……
塗りの縁取りをせずに「すべてのレイヤー」にチェックを入れた状態で塗りつぶしてみても、こんな感じです。
ちょっと分かりにくいですが、よく見るとまだ塗り残しがあります。また、線画の部分が塗れていないので、後で困るケースもあります。
そこで今回は、この塗り残しをなくす方法を全部で7通り紹介します!
自分に合った方法が見つかれば幸いです。
まず前提として、線画と塗りのレイヤーを分け、塗りのレイヤーを線画のレイヤーの下に置くものとします。
1.塗りつぶしツールを何回か使う
1つ目の方法は、塗りつぶしツールを複数回使うというものです。
先程の、1回だけタップ(クリック)した状態のものに、そのままもう1回塗りつぶしツールを使います。
その結果が、こちら。
これだけで、塗りを広げることができます。
結構いい感じに見えますよね。線画が太い場合や形がシンプルな場合に有効でしょう。
ただし注意点としては、「はみ出る場合がある」というのを上げられます。
たとえば、今回と同様に塗りつぶしツールを2回使った結果、こうなるケースがあります。
右上など、ところどころはみ出しているのが分かるでしょうか?
背景と明度差をつけると、もっとよく分かります。
この程度なら後から手作業で消せばいいかもしれませんが(というかどの方法も最終的には手作業で調節することになるのですが)、もっと大幅にはみ出してしまうこともあります。
また、縁取りの線が太くなってしまい、ギザギザ(ジャギー)が生じます。ちょっと、見栄えが良くないんですよね。
したがって、この方法は少し注意が必要です。
2.クイック選択ツールを使う
次に紹介するのが、クイック選択ツールを使う方法です。個人的には、これが一番好き。
クイック選択ツールは、このアイコンです。
記憶が定かではないのですが、もしかしたら初期設定では隠れているかもしれないので、その時はツールバーの点が三つ並んでいるアイコンから探してください。

まず今回の場合、クイック選択ツールを使うためには、きちんと背景を塗った上で、「すべてのレイヤー」にチェックを入れておく必要があります。
背景を透過した状態では、線画しか選択してもらえません。
線画以外に選択できるものが無いからです。
準備ができたら、さっそくクイック選択ツールを使っていきましょう。
クイック選択ツールは同じ色の領域を自動で選択してくれる機能です。
何度か選択を繰り返すと、いい感じに塗りたい面を選択できます。(一発でできる時もあります)
こんな感じです。
この後は簡単です。
そのまま選択範囲内で塗りつぶしツールを使いましょう。
こんな感じで塗れました!
やったー!
しかし、このクイック選択ツールにも落とし穴が。
輪郭線まで選択した状態(先ほどの状態)で塗ってしまうと、思いっきりはみ出すんですよね。
今回も、はみ出しています。
一見すると分かりにくいですが、背景を暗くするとよく分かります。
このままでも問題ない場合は構わないのですが、いやこれだとまずいよって言う場合には、最後にちゃんと手作業で消しましょう。
ちなみに、選択する段階で輪郭線を選択しなければ(下記画像)、はみ出すことはありません。
代わりにこうなります。
……やっぱり塗り残しがある!!!
難しいですね……
そこで、私がやっているのは、クイック選択後に選択範囲を拡張するというやり方です。
まず、クイック選択ツールで先程のように、内側のみを選択します。
次に、「選択範囲」→「選択範囲を変更」→「拡張」の順に操作し、拡張量を1pxに設定。
拡張した後が、こんな感じです。ほんの少しだけ範囲が広がったことが分かります。
*なお、「選択範囲」→「選択範囲を拡張」は違う操作なので、気を付けてください。(そっちの操作で上手くいく場合もありますが、「選択範囲を拡張」は色が似ている隣り合った領域を自動で追加選択する機能です)
この状態で、選択範囲内に塗りつぶしツールを使えば、綺麗に塗りつぶすことができます。
なおこの逆で、輪郭線まで選択してから「選択範囲」→「選択範囲を変更」→「縮小」でも良いですね。
注意点としては、線画が細い場合にはやっぱりはみ出すかもしれないということです。その時は、地道に手作業で消していきましょう。
3.投げ縄ツールを使う
次に紹介するのが、投げ縄ツールを使ったやり方です。
これもやってる方多いと思います。個人的にも、クイック選択ツールと同じくらい好きです。とても便利。
投げ縄ツールのアイコンはこちらです。

このツールを使うと、自分の好きな範囲を選択することができます。他のツールと比べて柔軟性がありますね。
今回、こんな感じで囲ってみました。
ちなみに、altキーを押しながら囲むと、間違って選択してしまった範囲を除外することができます。
この状態で塗りつぶしツールを使えば、塗り残しなく綺麗に塗れます。
難点としては、思い通りの形に囲うのが難しいということでしょうか。
いきなり全てを選択しようとするのではなく、少しずつ選択していくのが良いかもしれません。
オプションバーの左から2個目のアイコン(白い正方形が2つ重なっているもの)を選択してから使えば、連続して選択ツールを使っても、前回選択した範囲を解除せずにどんどん選択範囲を追加していくことができます。
4.地道にブラシツールで塗る
これはもう、そのままですね。
狭い範囲であれば、手作業で塗った方が早いケースも多いです。
ただし塗り残しができやすいので、必ずよく確認しましょう。
5.許容値をいじる
こちらは、わりとメジャーな方法です。
「許容値」とは、どのくらいまで色が似ている範囲を塗りつぶすか決める値のことで、許容値が大きければ大きいほど、多少色が違う範囲も塗りつぶしてくれるようになります。
そのため、許容値を上げれば縁までキッチリ塗りつぶしてくれるようになるということです。
先程は許容値1だったのですが、これを255にしてみます(普通はこんなに上げたらキャンバス全体が塗りつぶされてしまうので、もっと下げた方が良いです。100-200くらい?)。また、背景は透過ではなく白にします。
すると、こんな感じ。
……
塗り残しがある……。
そう、この方法メジャーなんですが、私はあまり上手く使えていません。
成功する時もあるんですが、なぜか上手くいかないことが多くて。
また、その都度許容値を変えるのが面倒なので、個人的にはあまり好きではありません。
でも普通は上手くできるみたいなので、ご紹介だけ。ぜひ活用してみてください。実演できなくてすみません💧
6.塗った後で変形する
1度普通に塗った後に、塗った範囲を選択して拡大するという方法もあります。
Ctrl+Tで塗りを選択して(自由変形の状態になります)少しだけ拡大すると、いい感じに塗り残しを消せるというものです。
この際、自由変形の設定が縦横比を固定するものになっている必要があるので、その点には注意しましょう。
また、中心の位置がずれてしまうと拡大した塗りの位置もズレるので、altを押しながら拡大することをおススメします。altを押しながら操作すると、中心の位置を固定することができます。
シンプルな図形の時に有効な手段ですね。
7.鉛筆ツールを使う
そもそもなぜ塗り残しができるのかというと、おそらくブラシツールを使っているからだと思います。
ブラシツールを使って線を引くと、なんとなく線の境界がぼやけますよね。
これは何も嫌がらせではなく、線を滑らかに見せるためのアンチエイリアスという効果です。
塗りつぶしの際には、塗りつぶしツールが、このぼやけている部分を塗りつぶしたい場所と同じ色として認識してくれないので、その部分に塗り残しが生じるわけです。
許容値を上げれば塗りつぶせるというのは、このおかげだと思います。
つまり何が言いたいのかというと、このぼやけた部分が生じないようにすればよいのです。
そこで鉛筆ツールを使います。
鉛筆ツールはブラシツールと異なりアンチエイリアスが適用されないので、線をくっきりと描くことができます。(逆に言うと、滑らかで精密な絵を描きたいときにはあまり向いていません)
まずは、この鉛筆ツールで塗りたい範囲を縁取りましょう。ニコちゃんの顔がさっきまでと違うのは気にしないでください。
次に、この中で塗りつぶしツールを使います。許容値などは特に気にしなくて大丈夫です。
するとこの通り、綺麗に塗れました!
私はあまり使わない方法ですが、場合によっては役に立つのではないでしょうか。
まとめ
以上全部で7通り、塗り残しをなくす方法を紹介してみました。
いかがだったでしょうか?
ちなみに私は、クイック選択ツールで選択→投げ縄で微調整というやり方をすることが多いです。
また、どの方法でも最後は手作業で調整するのを忘れないようにしてください。
イラストと背景に明度差をつけると、塗り残しやはみ出しに気付きやすいのでおススメです。
皆さんが、自分に合った塗り方を見つけられますように!
ちなみにadobeには、サポートコミュニティーというものがあります。何か困ったことがあった時、このコミュニティーを活用すると解決策が見つかるかもしれません。ご参考までに。
甘抹らあへのイラストのお仕事のご依頼は、お問い合わせページまでどうぞ。
9月18日(土)追記:拡張塗りのアクションについて
気付いたことがあったので追記です。
さいとうなおき先生というイラストレーターさんをご存知でしょうか? 絵の描き方や添削、絵を描いていく上での心構えなどについてたくさんの解説動画を上げていらっしゃる、大人気のイラストレーター・youtuberさんです。
そのさいとうなおき先生が先日PIXIV FANBOXにて、Photoshop用 拡張塗りアクションのデータを配布していらっしゃいました。
このデータを使えば、上述の「選択範囲を変更→拡張→塗りつぶし」の作業を一瞬で行うことが出来ます。無料でダウンロードできるので、ぜひチェックしてみてください!
下記動画の概要欄にリンクがあります。
【こんな影はダメ!】プロ絵師が『カゲの付け方』全て伝授します!【完全版】
データを利用する手順は、以下のとおりです。
Photoshop ver.22.5.1 windows10での動作になります。
~データの読み込みまで~
1.ダウンロードする
2.zipファイルを解凍し、kakuchonuriのデータ(ATNファイル)があることを確認する
3.Photoshopでなにかファイルを開き、「ウィンドウ」→「アクション」の順に操作する(アクションウィンドウは、右向き矢印のアイコンです)
4.アクションウィンドウの右上にある、線が「三」の形に並んだアイコンをクリックする
5.「アクションを読み込み」を選択
6.先程のkakuchonuriのデータ(ATNファイル)を選択
7.アクションの中に「拡張塗り」(1pxバージョンと3pxバージョン)が追加されていることを確認する
※1pxバージョンは、選択範囲が1px拡張されます。3pxバージョンは、3px拡張されます。用途に応じて使い分けてください。
~アクションの実行~
1.まず、塗りたい面を選択するところまでは自分でやります。このとき、輪郭線を選択しないことに注意しましょう。クイック選択ツールなり、投げ縄なり、自動選択ツールなり、多角形選択ツールなり、色域指定なり、好きなやり方で選択してください。
2.選択が終わったら、アクションの拡張塗りを選択した状態で、再生マークをクリックします(アクションウィンドウの下部にある、右向き矢印のアイコンです)
3.選択範囲を拡張したものが塗りつぶされます(ダウンロードしたままの状態だと色が橙色になるはずです)
~アクションにショートカットを適用する~
※1px拡張塗りについて解説していますが、もちろん3pxの場合も同じ手順で出来ます。
1.まず、橙色以外の色でも塗れるように、色の設定を変えます。アクションウィンドウの「1px拡張塗り」の左隣にある矢印をクリックして、中身を表示させてください。
2.「描画色」という工程があると思うので、その工程をクリックした状態で、ゴミ箱アイコンを押します。すると、「描画色」の工程が削除されます。
3.この状態でアクションを再生すると、最初に自分が選んでいた色で拡張塗りを実行できるはずです。
4.では次に、ショートカットを適用します。今度は「1px拡張塗り」を選択してダブルクリックをしてください。(名前編集になってしまった場合は、位置をずらしてもう一度ダブルクリックをやり直してください)
5.「アクションオプション」というウィンドウが出てきます。この「ファンクションキー」の欄に好きなキーを設定してください。私はF2にしてみました。
6.設定したら、OKを押します。
7.次回以降、設定したファンクションキー(私だったらF2)をクリックするだけで、アクションを実行することが出来ます。以上で設定は終わりです。
是非参考にしてください!