【参考文献の探し方】創作に必要な調べものをする方法と、その際の注意点についての覚書【初学者向け!】

こんにちは、甘抹らあです。絵と小説を描く人です。

皆さんは、何か調べ物をする際に、参考文献をどうやって探したらいいのかが分からない! と困ることはありませんか?

私は創作活動をする上で調べものをする機会が多いです。

そこでこの度、参考文献の探し方を形式化して書き起こすことにしてみました。

1.大テーマを決める

まず、自分が調べたいテーマを明確にします。

予め具体的に決まっている場合は、このステップは飛ばしてもOKです。

例えば「日本のアイドル事情」「漫画アニメ史」「探偵小説の書き方」「フェミニズム」「障碍者雇用」「日本政治のシステム」などなど。

なるべく具体的に決めることが望ましいですが、よく分からない場合には大雑把で大丈夫です。

2.概要を把握する

インターネット編

続いて、調べたい事柄について、インターネットで検索してみます。

Googleの検索エンジンは、信頼性の高い情報ほど上位に表示するシステムになっているはずなので、トップページに出てきた記事を一通り読んでみます。

※リスティング広告も上の方に出てきちゃうので、その辺は自分で気を付けてください。

分からない言葉が出てきたら、その都度、さらに検索をしたり、辞書を活用したりして意味を調べます。

そうすれば、概要を掴むことができるハズです。

次に、より具体的なテーマを決めます。

例えば先ほど「漫画アニメ史」について調べると決めたとしましょう。

今度はそれに関して、“制作技術”という観点から調べるのか、“思想”という観点から調べるのか、それとも“有名作品の系譜をたどる”のか等々、詳細な道筋を定めます。

百科事典編

他に、百科事典を活用することも可能です。

インターネットよりも正確で詳細な情報を得ることができます。

一度インターネットで概要を把握してから百科事典を読んでみると、より分かりやすいのではないでしょうか。

自分が調べたいテーマについて、中心となる単語を見つけて、それについて調べます。

百科事典にはたくさんの関連事項が載っているので、そこから芋づる式にたくさんの情報を得られるはずです。

自宅に百科事典が無い場合(私も無いです)、図書館で探してみると良いと思います。

貸出不可だとしても、大抵はコピーを取ることが可能です。司書さんなどにコピーの取り方を聞いてみてください。

※インターネットと書籍それぞれで得られる情報のメリットデメリット

  • インターネット
    素人向けに分かりやすく書かれていることが多く、読みやすい。
    また、速報性が高い。
    ただし、誰にでも情報をアップロードできてしまうため、信憑性に欠ける。
    ページ自体がある日突然削除される可能性もある。
    信憑性の高い情報を得るには、公的な機関のHPを参考にするのが確実。
  • 書籍
    玄人向けの難しい内容のことも多く、読みにくい(※もちろん、読みやすいものもある)。
    出版まで時間がかかるため、速報性には欠ける。
    ただし、その分多くの人の目が入ることで、信憑性が高まる。
    また、一度購入すれば破損しない限り半永久的に閲覧可能。

3.参考文献を見つける

調べたいテーマの概要を把握することができたら、いよいよ本格的に参考文献を探していきます。

調べ方は、大きく分けて3通り。

3‐1.インターネットで調べる

今はインターネットが発達しているので、有名な書籍であれば検索だけで容易に見つけることができます。

まずは検索して出てきた関連書籍を一通り読んでみるというのが、一つの手です。

『○○(調べたいテーマ) 書籍』などで検索してみてください。

3‐2.他の人が利用した参考文献を調べる

他に、参考にしたインターネットの記事や、書籍などに記載されている『参考文献』を見るという方法もあります。

大抵の場合は巻末や章末にまとめて記されています。

繰り返し登場するタイトルは特に重要なものなので、読んでみると良いかもしれません。

論文だけでなく、小説にも参考文献が記されていることはあります。

いきなり専門書を読むのはハードルが高いなという場合、読みやすい小説から手をつけると良いでしょう。

例えば、お仕事小説というジャンルは、あるお仕事についてきっちり取材したうえで描かれたものが多いです。

そのため、自分が調べたい分野に関係のあるお仕事小説を読んでみて、その小説が参考文献として挙げている文献をさらに読んでいくと、効率的に情報が得られます。

※ただし小説には脚色が加えられていることも多いため、小説そのものの内容を信じ込みすぎないように注意しましょう。

3‐3.本の専門家に聞く

図書館にはレファレンスカウンターというものがあります。

司書さんに「○○についての本を探しているので、良い本を紹介してもらえませんか?」といった感じでお願いすると、適当な本を見繕ってくれるのです。

本のエキスパートが対応してくれるため、有益な本を見つけやすいです。

ただし司書さんにも得意分野と苦手分野があるので、場合によっては適切な本が見つけられないかもしれません。

また、あまりにも大雑把なくくりで質問しても困らせてしまうかもしれないので、そのあたりは匙加減を調整してください。

3‐4.その分野の専門家に聞く

学生であれば、学校の先生に聞いてみると言う手もあります。

もちろん先生たちは非常に忙しいので、どこまで付き合ってもらえるかは人によるのですが、もしかしたら良い文献を紹介してもらえるかもしれません。

特に大学など専門的な勉強ができる環境にいる方は、ぜひ先生たちを活用してください。

高校の先生でも、熱心な方であれば色々教えてくれるかもです。

4.引用する際の注意点

ブログ記事や論文などで、自分が参考にした文献の一部を引用する場合には、引用元をきちんと明示するようにしましょう。

著作権法の三十二条には、以下のように書かれています。

(引用)

第三十二条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。

 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。

※引用元:著作権法 | e-Gov法令検索〈https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048〉(2022年6月16日閲覧)

引用が認められるのは、以下の要件を満たすときです。

(1)他人の著作物を引用する必然性があること。

(2)かぎ括弧をつけるなど,自分の著作物と引用部分とが区別されていること。

(3)自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること(自分の著作物が主体)。

(4)出所の明示がなされていること。(第48条)
(参照:最判昭和55年3月28日 「パロディー事件」)

※引用元:著作物が自由に使える場合 | 文化庁〈https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/gaiyo/chosakubutsu_jiyu.html#:~:text=%EF%BC%881%EF%BC%89%E4%BB%96%E4%BA%BA%E3%81%AE%E8%91%97%E4%BD%9C%E7%89%A9,%E3%81%AE%E8%91%97%E4%BD%9C%E7%89%A9%E3%81%8C%E4%B8%BB%E4%BD%93%EF%BC%89%E3%80%82〉(2022年6月16日閲覧)

引用の具体的な方法はいくつかありますが、重要なのは以下の2点です。

1.どこからどこまでが引用なのかをハッキリさせる。

引用部分が短い場合には「」(カギカッコ)や“”(ダブルクオーテーション)などでくくるのが一般的です。

長い場合(だいたい3行以上くらい)には前後に1行空きを入れ、引用部分は段落の頭を下げて書くのが一般的です。

引用元の言葉を勝手に変えるのは、アウトです。原則、一言一句忠実に記しましょう。長すぎて途中を省略したい場合には、(中略)を入れることによって略すことが可能です。

2.引用元を明示する。

引用元を明示する場合、“それを見た人が自力で引用元を参照できるかどうか”が重要となります。

著者・翻訳者・編者などの名前と、引用元の書籍のタイトル(雑誌のなかの1つの論文などであれば、論文のタイトルと雑誌のタイトルの両方)、ページ数、行数、出版社名、発行年、版数を記載します。

インターネット上で閲覧した資料の場合、著者名(可能な限り)もしくは機関名、ページタイトル、資料タイトル、URL、アクセスした日付を記載します。

電子論文の場合はDOIナンバーがあると思うので(Cinniで検索したやつとか)、それも記載します。

もっとも実際には、各業界の慣例に応じて書き方が異なっていたり、web資料だと著者名が分からなかったり、ケースバイケースなところが大きいです。

特にこのブログを読んでくださっている方に身近な例を考えると、

  • Twitterのような短文投稿を引用する場合にどうするべきか
  • イラストや画像を引用する場合にはどうすればいいのか
  • Twitterの中に引用元を書ききれない時にはどうすればいいのか

などは、なかなか難しいところです。

イラストや画像に関しては、たとえ引用目的であったとしても、画像そのものを貼り付ける行為は禁止だと思っておいた方が良いはずです、確か。

いくら引用したいだけだと言っても、結局は無断転載と同じことになってしまうので。
※画像の場合、それそのものが一目見ただけで本質のすべてを表しているため。

トリミングもNG。
ぼかしやモザイクは、微妙だけど多分ダメかな? めっちゃぼかせばOKかな?
とりあえず、やめておくのが無難です。

最悪、著作権違反もしくは著作者人格権の侵害で訴えられます。

どうしても引用したい場合、作者様もしくは撮影者様(とにかく、その画像の著作権の持ち主)に問い合わせて、使用していいかどうか聞いてみましょう。

他のケースに関して重要なのは、先ほど挙げた2点。

「どこからどこまでが引用なのかをはっきりさせる」

「読んだ人が自力で引用元にたどり着けるよう、引用元を明示する」

ことだと思います。

あっ、あとは

「本当に必要な引用であること(不必要な引用を行っていないこと)」

も大事です!!!

最低限この3点がクリアされていれば、形式が多少間違っていたところで、大きな問題にはなりません。
……ならないと、思います。

どうしても不安な場合には、大学の先生や専門家(弁護士さんなど)に聞いてみましょう。

また著作権に関しては、こちらの書籍がとても分かりやすくておススメです。

川上大雅『著作権Q&A』(玄光社)

5.おまけのQ&A

参考文献の内容は全部ちゃんと理解しないとダメなの?

いいえ、必要なところだけで大丈夫です!
もちろん理想を言えば、すべてきちんと理解することが大切です。

しかし、初学者が専門書に挑んだところで、返り討ちに会うのが目に見えています。

まずは情報の取捨選択を行い、自分に必要な部分を正しく理解できれば問題ないでしょう。

参考文献は、最初から最後まで全部読まなきゃダメ?

いいえ、必要なところだけでOKです。

もちろん理想を言えば(以下略)ですが、時間的にもご自身の理解力の問題でも、すべてを読むことが難しいケースは存在すると思います。

そんな時には、必要なところだけ拾い読みしましょう。

特に、古典文学の○○全集みたいなやつは、全部読もうと思ったら相当時間がかかってしまうので……。

調べものが終わらなくて、創作に取り掛かれないんだけど……

創作が目的の場合、適当なところで切り上げましょう!

大事なのは、作品を作ることです。

多少のミスは大目に見てもらえます。まして素人なら、仕方ないです。

プロであれば、校閲の方がチェックしてくださいます。

そのため、調べものばかりにかかずらうのではなく、まずは作品を描いてしまうというのも、非常に重要なことだと思います。

6.まとめ

以上、今回は参考文献の探し方についてみてきました。

創作をする際には調べものをする機会も多いと思いますので、少しでも参考になれば嬉しいです。

それではまた!

甘抹らあでした。

Twitter→@amamatsu_lar

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