【TRICK】ドラマ『TRICK』の紹介と個人的な感想【あらすじ/人物紹介/好きな点/気になった点】

TRICK紹介用のアイキャッチ

1.TRICKとは?

自称・美人天才巨乳マジシャンの山田奈緒子と自称・天才物理学者の上田次郎がコンビを組んで、様々な怪奇現象を解き明かしていくシリーズ。

堤幸彦監督の作品で、独特の世界観が見どころです。

怪奇現象を扱ってはいるものの、どれも合理的な説明がなされるため、ホラーというよりは本格ミステリです。

2.ドラマと映画、各エピソードの一言紹介

2‐1.シーズン1

エピソード1(1-3話):母之泉(人の心を読む)との対決。「おかーさまー」と呼ばれる人が出てくる。

エピソード2(4-5話):ミラクル三井(ものや人を消す)との対決。首なし死体が出てくる。

エピソード3(6-7話):黒坂美幸(超能力で遠隔殺人をこなす)との対決。

エピソード4(8話):千里眼を持つ男(透視ができる)との対決。

エピソード5(9-11話):父の死の真相に迫る@黒門島

シーズン1の推しポイント✨

  • 山田と上田、2人の出会いが分かる!
  • 首なし死体が登場するなど、刺激が強め
  • 内容は重いものが多く、見ごたえがある
  • 「不可解な現象を理に落とす」という意味で、本格ミステリの香りを感じる
  • それなのに重くなりすぎない、軽やかな面白さがある

2‐2.シーズン2

エピソード1(1-3話):六つ墓村で毎年1月11日に人が死ぬという事件に挑む。

エピソード2(3-5話):100%あたる占い師・鈴木吉子との対決。「時間の穴」が出てくる。

エピソード3(6-7話):サイ・トレーラー・深見博昭(失踪者を見つけ出すことができる)との対決。「ゾーーーン!」

エピソード4(8-9話):天罰を下す子(御告者)との対決。「天罰がくだるよ!」という台詞が印象的。

エピソード5(10-11話):妖術使いの森に入る。みんなの毛が伸びる。

シーズン2の推しポイント✨

  • 前シーズンから引き続き、「不可解な現象を理に落とす」という意味で、本格ミステリの香りを感じる
  • 後味の悪さがクセになる
  • そしてやっぱり、それでもなお重くなりすぎない軽さの塩梅が好き

2‐3.TRICK劇場版

最初の映画。のちの作品と比べると、シリアスな雰囲気が強いかもしれない。

マジックのステージの後、ある男女から声を掛けられた山田は、報酬と引き換えに、「神」を演じることを承諾する。

なんでも、彼らの村には「亀」が動くときに災いが起こるといわれており、その災いを収めるために神様の力が必要なのだそうだ。

山田に依頼した男女は、そんな言い伝えは嘘だろうが、神がいないと村人が不安がってしまうからという理由で、皆の不安を取り除くために山田を呼んだのである。

ところが村についてみると、山田の他にも3人の男が神を自称して乗り込んできていた。

一人は、人が望むものをなんでも実体化でき、別の一人は足の裏に目がついており、最後の一人は確率(すなわち運命)を支配することができるという。

誰が本当の神様か突き止めるために、神同士で戦わせようとする村人たち。

偽物だと分かったら命は無いというので、山田は必死に自分以外の自称神たちのインチキを暴いていく。

そんななか現れたのは、「どんとこい超常現象」の取材のために同じ村を訪れていた上田。

山田は上田とのやり取りの中で、この村に徳川の埋蔵金が隠されている(のではないか)と気付く。

そこで、何としてでも神として勝ち残り、財宝を手に入れようと目論む。

しかし、なんと、インチキを見破られた自称神の男たちが、次々と殺されてしまう。

一体、犯人は誰なのか?

そして、この村にある「災い」と「神」の言い伝えにはどのような意味があるのか?

劇場版の推しポイント✨

  • 「アイタイ イマカラ シスラナ テハイ」の暗号が面白かった。すごい!
  • 伏線がちゃんと後に効いているのが楽しい。
  • 「神001」などの呼び方のシュールさ。(3桁あるってことは、神候補が100人以上現れるかもしれないって思ってたのかな?)
  • 最終試練の打開策が面白かった

2‐4.シーズン3 

※矢部の部下が、石原から菊池に代わる。

エピソード1(1‐2話):言霊で人を操る男・玄奘との対決。「神の像の像」やガッツイシマッチュウが出てくる。

エピソード2(3‐4話):ものを瞬間移動させることができるというスリット美香子との対決。

エピソード3(5-6話):絶対に死なない老人ホームの謎に挑む。「もどーれもどーれ」と唱えることで、何でも元に戻せるという男・赤地が登場する。

エピソード4(7‐8話):死を招く駄洒落歌の謎に挑む。

エピソード5(9‐10話):念でものを生み出す女・長谷千賀子との対決。
からの、山田の過去にまつわる因縁。孤島に連れ去られた山田が、ある封印を解くために5文字の言葉を突き止めようとする。

シーズン3の推しポイント✨

  • 今までにも増して、語呂の良い言い回しがたくさん出てくる
  • 引き続き、後味の悪さと話の重さが好き
  • 最終回で、上田の山田への好意を感じたところ(びっくりした!)

2‐5.新作スペシャル1

※矢部の部下が、菊池から秋葉に代わる。

人がいつどのように死ぬのかを知ることができるという占い師・緑川祥子との対決。

上田はあるテレビ番組の生放送中、他の3人の学者とともに、緑川祥子の占いが的中する場面を目の当たりにする。

なんと、彼女の占い通りに目の前で人が死んでしまったのだ。

日ごろから霊能力など存在しないと豪語している上田は、その占いがインチキであることを証明しなければならない事態に陥り、山田を頼る。

山田も例のごとくアパートを追い出されそうになっていたため、上田とともに緑川祥子の館へ。

館には、緑川祥子とその信者たちが住んでいた。

山田は、緑川のパフォーマンスをただの手品だと暴いてみせるが、決定的な証拠を見つけることができない。

そうこうしている間に、学者三人のうちの一人が、緑川の占い通りに死んでしまう。他殺を疑う上田と山田だが、緑川たちには鉄壁のアリバイがあり……

果たして、真相はなんなのか?

新作スペシャル1の推しポイント✨

  • 収録中に人が死ぬという絵面のショッキングさ
  • 見立て殺人の面白さ
  • 上田の人並み外れて高い身体能力
  • 最後の手紙

2‐6.TRICK劇場版2

舞台は筐神島。十年前に行方不明になった少女・美沙子が、筐神島に連れ去られたのだと言われて、山田と上田は美沙子を探しに行く。

筐神島は霊能者・筐神佐和子に支配された島だ。

やっとのことで美沙子を見つけ出すことができるが、佐和子とその信者の妨害にあい、なかなか島を出ることができない2人。

それでもなんとか美沙子を故郷の村に送り届けるが、佐和子はあきらめていなかった。

美沙子を取り戻すべく、信者たちとともに村へ押しかけてきた佐和子。

そしてなんと、“村を消して”しまう。

果たして彼女は、どのように村を消したのか?

村人たちは、このまま佐和子に従うしかないのか?

真実やいかに!

TRICK劇場版2の推しポイント✨

  • 落ちたら死ぬ沼がめちゃくちゃ怖い
  • 上田のシュールな戦闘シーン(悪魔の実!笑)
  • 山田の母が最強だった
  • ラストが物悲しい

2‐7.劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル

万練村では、村を災厄から守る霊媒師・カミハエーリの後継者の座を求めて、全国から霊能者が集っていた。

そのうちの一人である山田は、他の立候補者たちのインチキを暴き、自分が選ばれようと画策する。

一方の上田は、村の青年から「こんな因習を絶ちたい」と頼まれて、彼らのインチキを暴くために同じ村にやってきていた。

そうして、期せずして再会した、山田と上田。

山田以外の霊能者たちのインチキを暴くため、一時的に手を組むことに。

ところが殺人事件が起きてしまい、事態は思わぬ方向へと転がっていく――!

霊能力者バトルロイヤルの推しポイント✨

  • カミハエーリの後継をめぐる争いという設定が面白い
  • 上田と山田の結託の仕方
  • 本っっ当に後味が悪い(好き)

2‐8.新作スペシャル2

横溝正史作品“悪魔の手毬唄”のオマージュとでも言うべき作品。

今度の舞台は、「契り祭り」というお祭りが行われる村。

この村では、好きな相手の体の一部を「契り紙」に包んで、お互いに「契り岩」に結びつけると、恋が成就するといわれている。

ただしどちらかが約束を反故にすると、フられた方が3日以内に死ぬらしい。

村一番の大家の息子・誠一は、この言い伝えが迷信だと証明してほしいと言って上田を頼る。

上田は呪いを恐れつつも、多額の資金援助に目がくらみ、調査を了承。

自分ではなく、山田を実験台として利用する。

そんなこんなで村に来た、山田と上田。

時を同じくして、かつて夫と息子を殺されて村を出たという謎の女性も村にやってきた。

そして契り祭りが始まって間もなく、誠一の婚約者が殺されてしまう。

しかもその死体は、モズのはやにえのごとく、高い木の枝に突き刺されていた……。

その後も立て続けに起こる殺人事件。その内容はいずれも、子守歌の内容を再現しているかのようで――

さあ、真相はいかに!

新作スペシャル2の推しポイント✨

  • 「契り祭り」の言い伝えと、契りをかわそうとする人々の画策が面白い
  • 山田をもうちょっと人間らしく描いてあげてくれ……(推しポイントじゃないね)
  • 見立て殺人の面白さ
  • 誠一さんがモテモテ
  • 事件の終わり方が切ない

2‐9.新作スペシャル3

横溝正史作品”犬神家の一族”のオマージュというべき作品。

水神家には、代々伝わる財宝があり、その財宝のありかを示すヒントがある箱の中に隠されている。

欲に目のくらんだ愚か者が箱を開けると死が訪れると言われていたことから、その箱はある種の畏怖をもって扱われていた。

実際、一族には、過去に財宝を狙って失踪したとされる人物がいる。

しかし当主が亡くなったことで、金銭に困っていた遺族たちがついに箱を開けることに。

なんだかんだあって、上田と山田も、その開封の場に立ち会う。

そして箱から出てきたのは――なんと、1枚の白紙。何も書かれていない紙である。

しかも、箱には一度開封された形跡があったことから、誰かが抜け駆けしてヒントを盗み取ったものと思われた。

疑心暗鬼に陥った一同は、互いをけん制しつつ、財宝探しにいそしむ。

そんななか、そのうちの1人が遺体で発見されて、一族の呪いがますます恐れられるように……。

一体、犯人はだれなのか? そして、財宝はどこにあるのか?

新作スペシャル3の推しポイント✨

  • 『犬神家の一族』を彷彿とさせるおふざけの数々
  • 伏線とその回収の仕方が秀逸
  • 途中で離脱する矢部&秋葉
  • 呪いの真相

2‐10.ラストステージ

シリーズ14年間の集大成とされる本作。舞台は海外の、小さな村。

レアアースの採掘事業に乗り出していた村上商事は、ある村から立ち退き要求を拒否され、手を焼いていた。その村に住む部族は、あるシャーマンを信奉している。

村上商事の役員から相談を受けた上田は、シャーマンの未来予知などのトリックを暴くため、例のごとく山田とともに現地へ乗り込む。

ところが現地入りして間もなく、上田は病に侵され、それをシャーマンに治療してもらうことで、図らずも彼女の力を裏付けることとなってしまう。

そして、強硬に立ち退きを進めようとしていた1人が、シャーマンの手によって殺される。

さらに、山田とシャーマンは、同じ「火の玉」の夢を見ているという。

これは、何かの暗示なのか――? 謎は深まるばかりだ。

皆が戸惑う中、最後の時は近づいていて――

ラストステージの推しポイント✨

  • 海外独特の雰囲気や熱気
  • 「夢」の神秘性
  • シャーマンに関する上田の推測
  • 冴えわたる山田の推理
  • ラスト!!!(シリーズ全部通して見ると、最後は本当に号泣)

3.主観的な登場人物紹介

山田奈緒子

自称・超美人天才巨乳マジシャン。その実態は、売れない貧乏マジシャン。

家賃を滞納しており、毎日食べるのにも困っている。

貧乳がコンプレックス。でも美人。

お金にがめつく、お金(に限らず、物)がもらえる機会には喜んで飛びつく。
困窮状態にあることを鑑みても、強欲な性格であると思われる。

ただし、人間として格別嫌な奴というわけではなく、むしろ基本的には優しい方。
人道にもとるような悪いことはしないし、他人思いな姿をたびたび見せている。

インチキ霊能力者を嫌っており、そのインチキを暴きたがる。

上田次郎

自称・天才物理学者。実際、頭は良いらしい。

「どんと来い!」などと言って様々な超常現象に立ち向かう風を装っているが、実際には怖がりで、超常現象を目の当たりにするたびに、びびって気絶する。

解決はだいたい山田に頼っている。

だが肉体的には非常に頼りになる。
筋力も体力も人並み外れており、「なぜベストを尽くさないのか」という言葉に反応して、その本領を発揮する(本当にこの人は人間なのか?)。

巨根がコンプレックス。

あと背が高いので、色んなところにぶつかる。

山田のことが好きなようにも見えるのだが、好意を明示したことは無い。

見栄っ張りで小心者。何冊か本を出版している。

山田里見

奈緒子の母。書道教室を開いている。

また、「文字には不思議な力があります」と言いながら、人々から金を巻き上げて暮らしている。

お金の巻き上げ方は多岐にわたり、娘の奈緒子に比べて、はるかに商売上手で世渡り上手。

危険な目にあうことはほとんどなく、何気に作中で最強の人物ではないかと思われる。

矢部謙三

山田と上田が巻き込まれる事件に、なぜか毎回現れる刑事。

薄毛(完全な禿なのか否かは不明)がコンプレックスで、常にカツラをかぶっている。

カツラがずれそうになると焦り、この毛は地毛だと言い張る。

「毛が生える」という謳い文句に弱く、それっぽい言葉(特に温泉)に目がない。

また、「ハゲ」「ヅラ」などの言葉にも敏感に反応して怒る。

部下に対しては理不尽な鉄拳制裁を下すことがしばしば。しょっちゅう休暇を取っている。

あまり良い性格とは言えないのだが、稀に刑事らしい正義感や優しさを見せることもある。

石原達也

矢部の初代部下。

金髪ヤンキー風の出で立ちで、怪しい広島弁を操る。

矢部のことを「兄ィ!」と呼んで慕っており、殴られても「ありがとうございます!」と喜ぶ。

最後の方の登場回では、髪が伸びてキャラが変わっていた。

ちなみにラストステージにもゲスト出演している。

菊池愛介

矢部の二代目の部下。

東大出身で、聞かれてもいないのに「私は、東大を出ています!」と言いたがる。
背中に東大理三という刺青を入れている。完全にヤバイやつ。

キャリア組で、矢部を追い抜かして昇進していった。

部下だった時も、やたらと自分で指示を出したがるため、矢部と声が被ることが多々あった。

靴や服が汚れることを厭い、汚い場所には入りたがらない。

秋葉原人

矢部の三代目の部下。

常に電子機器みたいなでっかい荷物を一式抱えて移動している。典型的な「オタク」。

奈緒子の容貌が好みにドンピシャだったらしく、初対面時には「萌え~~!」と叫んで白目をむいていた。

石原と同じく、矢部に殴られても「ありがとうございます」と応じる。

石原に比べると、幾分かテンションは低め(陰キャ寄り? 飄々とした雰囲気もある)。

4.全編を通しての感想

4‐1.独特の世界観が面白い

舞台は普通に現代日本なのですが、登場人物それぞれの個性が強すぎて、特殊な世界観を感じます。それが面白いです。

特に、言い回しの妙が好きです。

「お前のやったことは全部お見通しだ!」「どんと来い」「なぜベストを尽くさないのか」「おかーさまー」などの言葉が、どれも印象的です。

語呂が良いのと、言い方が変に真面目腐ってるのとで、思わず笑ってしまいます。

また、毎度毎度怪奇現象じみた事件が起きるのも、TRICKの特徴です。

4‐2.あまり重すぎない、カラッとした雰囲気なので、見やすい

推しポイントのところにも書いたことですが、物語の内容は重いものが多いです。

複雑な家族関係が遠因になっていたり、復讐が動機だったり、事件が解決しても後味が悪かったり……。

しかし、見ている方がその重さに引きずられないよう、軽妙な描き方をされています。

登場人物たちが、全体的に冷めた見方をしているというか、あまり問題を重要視していないというか、場面が切り替わったらそれと同時に問題も水に流されているというか。

そのため、気楽に見ることができます。

良い意味での「安っぽさ」「作り物感」と言ってもいいでしょう。

私などは気持ちの浮き沈みが激しい方なので、このように少し冷めた描き方をしてくれると、とてもとっつきやすくて好きです。

4‐3.ミステリ的展開と、トリックの数々が面白い

そして、馬鹿馬鹿しいやり取りに隠れて忘れがちなのですが、ミステリ的な展開も見物です。

毎回、村の言い伝えと引っかけた摩訶不思議な出来事や、到底実現できそうにない難解な犯罪を見せてくれるので、「一体どんなトリックなんだろう?」とワクワクしながら見ることができます。

また、山田がマジシャンなので、マジック絡みのネタも多いです。トリックの種が分かって、楽しくなります。

4‐4.山田と上田の関係に萌える

最後に、私は、山田と上田の関係が好きです。

特にラストステージの最後の場面を見た後だと、もう感無量ですね。

お互いに罵倒しつつも信頼しているところが良いなと思います。

罵倒の仕方がなかなかにアグレッシブなのですが、根底に信頼があるところが好きです。

また、上田の山田への好意がチラチラ匂わされているのも好きです。
もっと進展してほしい反面、今のままだからこその良さもあるなと思っていて、なんとも。

5.気になってしまった点

ここまでべた褒めしてきましたが、気になる点が一つもなかったわけではありません。

特に気になってしまったのは、笑いどころとして扱われているネタの内容です。

特に、山田の貧乳と矢部のヅラ。

この2点がそれぞれネタにされていることが多いのですが……、ちょっと、一言言わずにはおれない。この点に言及しないままこの作品をおススメしてしまうのは、無責任すぎるような気がしている。ということで、以下に詳細な懸念を示しておきます。

TRICKでは、登場人物それぞれに大なり小なりコンプレックスがあって、特に主役の2人に関しては、山田のコンプレックスが貧乳・上田のコンプレックスが巨根ということになっています。
(※実際の俳優さんの身体的特徴とは関係ありません。)

特に初期の頃は、山田の貧乳と同じくらい高頻度に上田の巨根もネタにされていました。

ただ、新しい作品になるにつれて、巨根ネタは抑え気味になり、逆に貧乳ネタは鉄板になりつつあるような気がしています――これは私の主観的な感覚なので、実際にどうなのかは分からないのですが。

おそらくこれは、下ネタの度合いが「貧乳」よりも「巨根」の方が強いからだと思います。
胸の大小はパッと見で分かるし、ネタにされやすいです。女子同士でも、日常的に言及することがままあります。

一方巨根の方はパッと見では分からない(隠れているはずなので)し、日常生活でそんな言葉を口にしたら品性を疑われます。
私は女子なので男子同士の日常会話は分かりませんが、少なくとも女子が人前で巨根がどうこうという話をすることはありません。皆無です。なんならここにこの言葉を書くことすら恥ずかしいです。

したがって、ネタにしやすい貧乳の方は何度もハッキリ連呼されるけれど、ネタにしにくい巨根の方はボンヤリとしかいじられないみたいな傾向にあるんじゃないかと思います。

一方、貧乳の方はほぼ毎回ネタにされているような印象を受けます。それも、におわせるどころではなくハッキリと「貧乳」と言われています。
ラストステージでも、これでもかというほどに連呼されていました。

※分かりやすいところで言うと、上田が山田を貶すときに「山田は貧乳」と書いたのに対して、山田は「上田は巨根」ではなく「上田はバカ」みたいな切り返しをすることが何度かあったような気がします。

それで、ですね。

話を戻します。

これの何が問題なのかというと、山田の貧乳が強調され、相対的に上田の巨根いじりが霞むことによって、いじられ具合の非対称性が生じるということです。

ややこしいので直截に言うと、山田ばっかりがいじられていて、いじめに近い図式が生まれてしまっているということです。

そもそも上田と山田は人物設定が非対称的です。

上田には学歴・地位・ある程度の経済力・強靭な肉体があるのに対し、
山田には学歴(は知らんけど)も地位も経済力もありません。

よくよく考えると、自分の経済的・肉体的優位性をもってして、強者男性である上田が、弱者女性である山田を搾取しているような構造になってしまっているわけです。

もちろん、その見方が一面的に過ぎることは分かっています。

実際には、上田はビビリであまり役に立たず、重要な推理をすべて山田が担うことによって、この非対称性が解消されているわけです。
(山田が黙って搾取されているような大人しい性格ではないというのも大きい)

というか、この二人の設定が見事に正反対になっているのは、よくあるバディもののセオリーにのっとって、わざとそうしたからに過ぎないんだと思います。

貧乳と巨根というのも、その一つですよね。正反対の特性を持たせることによって、2人の違いを際立たせています。

そして、お互いがお互いをののしり合うことによって――時には頼り合うことによって――、非対称的な“いじめ”になってしまわないように気を付けて作られています。
……や、時代が古いのもあるし、実際にそういう意図があるのかどうかは知らんけど。

だけどやっぱり、危うさはあると思うのです。

そもそも、巨根ってコンプレックスなんでしょうか?
大きすぎると傷つけてしまうことがあるから云々と述べているなど、上田本人がコンプレックスに感じていることは明らかです。
でも、普通は小さい方がコンプレックスなんじゃないでしょうか?
(ああ、私は何を大真面目に語っているのだろう……)

大小で対にしたかったことは分かるんですが、なんかモヤっとします。

また、巨根のほうはあまり明確にはネタにされないのに対して、貧乳の方はカジュアルにいじってもいいと思われていること自体が、この社会に存在する女性蔑視を明らかにしてしまっていると思います。

本来なら女性の胸の大小について大きな声でネタにするのは、大変下品なはずです。

私は別にTRICKという作品に上品さを求めているわけではないので、TRICK内でネタにすることに対しては、特に何とも思いません。
そういうもんだろうなと思っています。好きな人だけが見ればよろしい。

なので、TRICKそのもののというよりも、この社会に対する疑念です。

「巨根」を連呼することは許されないのに、「貧乳」を連呼することは許される。

これって、ちょっと変な気がします。
どちらも性的な揶揄であることに変わりはないのに。

図らずもこうした問題を浮き彫りにしてしまっているので、なんというか、うーん、ニコニコ笑顔でスルーすることはできないかな……と思うのです。

いっそ大きな声で上田のことも巨根巨根!!って罵ってくれる方がよかったのかもしれない。それができないなら、貧乳いじりもやめるべきじゃなかろうか。

それから、そもそも身体的特徴をあげつらって笑いを取るという行為自体がもうアウトな気もします。

私はルッキズム的な価値観が嫌いなので、たとえ対称性が担保されていたとしても、やっぱりあまりそういうネタは入れてほしくないです。

もちろん、ネタがネタとして成立するかどうかは、人間同士の関係性に左右される部分が大きいことは分かっています。

例えば、非常に仲の良い信頼関係の成り立っている相手と、冗談で「ブス」「デブ」「貧乳」などとからかいあうのと、
そうではなく、さして仲の良くない相手から、半ば本気でそのようなことを言われるのとは、大きく異なります。
これは前提としてちゃんとしておかないと、良くない結果を招いてしまう気がします(表現の自由に対する一律的で極端な規制とか)。

……まあ私は、前者でも傷つきますが。

それはそれとして、身体的特徴をネタとしてあまりにもカジュアルに消費しすぎるのは良くないと思う、という意見でした。

あと最後に……。
貧乳と巨根に着目していたせいで”ヅラいじり”に言及するのが遅くなってしまいましたが、これもちょっと、なんだかなと思います。

矢部の性格がお世辞にも良いとは言えないことを考えると、本人が気にしているコンプレックス=ヅラをいじることによって、ある種の意趣返しをしたくなるのは分かります。

あの登場人物同士の関係性だからこそ成り立つネタなんだろうな、みたいな理解。

だけど、本気で薄毛に悩んでいる人が見たら傷つくんじゃないかな。
やっぱりやめた方が良いような気がします。

ただ、やはり世代的なものはあるんでしょう。
昭和のノリというか、なんというか。

世の中には、そのノリさえなければ最高なのに!!! という作品がまあまあ多いので、面倒くさいと思われてしまうかもしれないんですが、その都度こうしたノリ(価値観)には疑問を呈していきたいと思う今日この頃です。

今は令和だよ!!!!

続いて、ドラマTRICKを視聴する方法をご紹介します。

6.ドラマTRICKを視聴する方法

TELASA

TELASAでは、定額料金で会員登録すると、番外編の『警部補矢部謙三』も含めてシリーズ全作が追加料金なしで見られるそうです。

登録後2週間は無料で利用できるとのことなので、登録してみると良いかもしれません。

※2022年6月6日時点の情報です。最新の情報は公式サイトをご参照ください。

Amazon Prime Video

Amazon prime videoでは、定額料金で会員登録すると、ドラマの3シリーズ+劇場版が追加料金なしで見られます。

矢部謙三シリーズの方は追加で課金が必要です。

Amazon primeは映像作品を見る時だけでなく、Amazonで買い物をするときなどにも広く役立つので、登録しておくとお得かもしれません。特に学生の方は、学生プランがあるのでお勧めです!

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クランクイン!ビデオ

クランクイン!ビデオでは、定額料金で会員登録すると、劇場版の4作品がそれぞれ330ポイント~で見られます。

※2022年6月6日時点の情報です。最新の情報は公式サイトをご参照ください。

dTV

dTVでは、定額料金で会員登録すると、劇場版の4作品がそれぞれ330円~で見られます。

「標準」が330円、「HD」が440円とのこと。

※本作品の配信情報は2022年6月6日時点のものです。配信が終了している、または見放題が終了している可能性がございますので、現在の配信状況についてはdTVのホームページもしくはアプリをご確認ください。

ABEMA

AbemaTVでは、ドラマシリーズの方が、一部有料で視聴可能です。

https://abema.tv/video/title/50-20

※2022年6月6日時点の情報です。最新の情報は公式サイトをご参照ください。

TSUTAYA DISCAS

TSUTAYA DISCASでは、DVDのレンタルが可能です。番外編(警部補矢部謙三)もあるようですね。

※2022年6月6日時点の情報です。最新の情報は公式サイトをご参照ください。

Music.jp

music.jpでは定額料金で会員登録すると、シリーズ全作1作につき330円~視聴可能です。

https://music-book.jp/video/series/762

※2022年6月6日時点の情報です。最新の情報は公式サイトをご参照ください。

U-NEXT

U-NEXTでは、シリーズ全作+番外編の警部補矢部謙三が見放題の対象になっています。

そのため、月額プランで会員登録を行うと、追加料金なしで見ることができます。

月額プランには無料体験期間がある(31日間)ので、その期間中に一気見するのが一番お得かも……?

※本ページの情報は2022年6月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。

7.まとめ

以上、ドラマシリーズ『TRICK』について紹介してみました。

最後なんだかんだ書きましたが、お話自体はとても面白いので、気になる方はぜひ見てみてください!

それではまた、一緒に頑張っていきましょう。

甘抹らあでした!

Twitter→@amamatsu_lar