【怪盗クイーンシリーズ】既刊紹介と個人的な感想‐あらすじ、登場人物紹介、メディアミックス情報など

怪盗クイーンシリーズの書影×4冊分
※記事内のURLは商品の参考として載せているものです。リンク先からご購入される場合には、必ず各自の判断でお願いいたします。

目次

1.怪盗クイーンシリーズとは?

はやみねかおる先生による、講談社青い鳥文庫の大人気シリーズです。

怪盗クイーンとそのパートナーのジョーカー&人工知能のRDが様々な物を盗み出す物語。
国際刑事警察機構はクイーンたちを捕まえようと奔走していますが、失敗続き。

暗殺者や謎の辺境伯、大富豪など怪しげなキャラが大量に登場し、事態が混迷を極める中で、毎回クイーンが鮮やかに解決へと導いてみせます。

2.主観的な主要キャラ紹介

クイーン

主人公。性別不明。年齢不明。国籍不明。
超美形。何でもできるのでもはや人外。
しかし精神年齢は低い。子どもっぽくてお気楽。
人生で大切なのはC調と遊び心! と豪語している。最強。

ジョーカー

クイーンのパートナー。※クイーン曰く「友人」だが、本人は否定している。
黒髪短髪のイケメンお兄さん。
クイーンほどではないが、人外レベルで強い。冷静沈着でかっこいい。

RD

歌って踊れる人工知能。もはや人間か? と言いたくなるほど感情豊か(に見える)。
マガという名の人工知能の恋人もいる。人間ver.の姿もある。
性能としては、世界一の人工知能。倉木博士によって開発された。
クイーン&ジョーカーの仕事仲間。※クイーンは「友人」と言っているが、本人は否定している。

皇帝(アンプルール)

クイーンの師匠。クイーン以上に強い。年齢不詳。百年以上は余裕で生きている。もはやバケモノでは。来歴不明。とにかく最強。

ヤウズ

皇帝と一緒に暮らしている少年(青年?)。ジョーカーの後輩。
殺伐な世界で生きてきたが、今は皇帝に小間使いのごとくこき使われる毎日。
エレオノーレという女の子から好意を寄せられている。

エレオノーレ

ドイツのホテルベルリンとかいうヤバイ組織のトップ。
まだ若い(幼いと言ってもいいくらいの)女の子。可愛い。
組織が殺伐なことをしている&大富豪なので、倫理観や金銭感覚がバグっている。

シュテラ

エレオノーレに仕えている女性。とても強い。あと怖い。
ホテルベルリン総裁の意向を第一に行動している。

シュヴァルツ

ホテルベルリンに所属する、ドライ・ドラッヘンと呼ばれる幹部の一人。
身近にある様々なもので人を殺せる。
職務に忠実で四角四面。

ゲルブ

ドライ・ドラッヘンの一人。優秀な狙撃手。まだ若い男。
エレオノーレのことが大好きだが、一向に振り向いてもらえない(好意に気付かれてすらいない様子)。
ヤウズとは犬猿の仲。ファストフードが好き。

ローテ

ドライ・ドラッヘンの一人。火炎使い。女性。
ワケあって、探偵卿のヴォルフと恋人関係にある。
ヴォルフが浮気をしているのでは? と疑うと燃やしに来る(怖い)。

ヴォルフ

国際刑事警察機構の探偵卿。
本来ならばドライ・ドラッヘンなどの犯罪行為を取り締まる立場なのだが、その一人であるローテと恋仲にある。
武闘派と言われるだけあって、ジョーカーと張り合えるほど強い。日本刀で戦う。
頭は悪く、とにかく力でゴリ押す男。
命令には忠実だが、融通が利かないわけではなく、なんなら無意識のうちに突っ走ってしまうことが多々ある。
喧嘩っ早いだけで、心根は優しい。

花菱仙太郎

探偵卿の一人。推理をするときに片方の目が銀色になる。若い男。
コンビニ王を目指して働く日々(コンビニ王が何なのかは不明)。
お気楽で軽薄に見えるし実際そうなのだが、頭は良い。あと優しい。比較的常識人な方だと思われる。
ヴォルフとコンビを組んで捜査に当たることが多い。肉体的に強いわけではない。

ルイーゼ

13人の探偵卿を束ねる女性。元探偵卿で、非常に優秀。誰も彼女に逆らうことはできない。
何事にも動じず、常に陽気に振舞っている。怖いもの知らず。
ただし、上司のMという男だけは苦手。Mから電話がかかってくると、極力出ないorすぐに切ろうとする。

ヴァドエバー

男性の探偵卿。色々あるけどネタバレになるので割愛。

パイカル

少年の探偵卿見習い。ヴァドエバーの助手。

ネア

大金持ちの探偵卿。嫌味な性格。

シド

ネアの執事。色々語りたいけど、ネタバレになるので割愛。

アンゲルス

オタクで引きこもりの探偵卿。非常に頭が良いが、なかなか動きたがらない。
同人誌やフィギュアを大量に持っている。
また、人工知能のマガを有している。

マガ

アンゲルスのところにいる人工知能。自称、宇宙一の人工知能。RDの恋人で、勝気な性格。

夢水清志郎

他シリーズの主人公だが、稀にこちらにも顔を出す。名探偵。探偵ではなく名探偵。探偵と言われると必ず訂正する。

食い意地が張っていて生活力がとても低い&記憶力が限りなくゼロに近いが、名探偵としての能力は本物。みんなが幸せになる解決をする。
いつもよれよれの黒い背広にサングラス姿で、年齢不詳。大人ではある。

※他にも個性豊かなキャラが大勢いるけど、基本はこの辺がメインです。

3.メディアミックス・グッズなど情報

3‐1.劇場OVAアニメ化

2022年6月に劇場OVAアニメ化します!!!

劇場OVAアニメが何なのかはいまだによく分かりませんが、要するに映画館で放送される長編アニメってことみたいです。つまりアニメ化です。すごい!

今回アニメ化されるのは『怪盗クイーンはサーカスがお好き』

既に、予告映像などが解禁されています。

めちゃくちゃ見に行きたくて、ワクワクしています。

ついでにシリーズ全作アニメ化してほしいところ。

原作をご存じない方も、ぜひこの機会に映画を見に行ってみてほしいです!

3‐2.グラフアートカフェとのコラボ

いくつかグッズが販売されています。

ここのカフェのコラボグッズはいつもめちゃくちゃ可愛いので、おススメです。好き~!

https://eeo.today/store/101/products/list?name=%E6%80%AA%E7%9B%97%E3%82%AF%E3%82%A4%E3%83%BC%E3%83%B3

青い鳥文庫の公式グッズ(特別カバーやカレンダー、シールなど)

カレンダーは、青い鳥文庫のファンクラブに入るともらえます。青い鳥サポーターズと呼ばれるものらしいです。

※私が入会していたのは十年ほど前なので、今がどうなのかは不明ですが……。

それ以外は、キャンペーンなどでもらえることがあるやつです。

4.各巻のあらすじと感想

4-1.怪盗クイーンはサーカスがお好き

怪盗クイーンが今回狙うのは、“リンデンの薔薇”という宝石。
しかし盗み出そうとしたところで、何者かに横取りされてしまった。

横取りしてきたのは、セブンリングサーカス団という、特殊技能を持つスペシャリストたち。

挑戦状をたたきつけられたクイーンは、“リンデンの薔薇”をめぐって、サーカス団との勝負に乗る。

果たして、その勝負の内容とは?

そして、勝敗の行方はいかに!

推しポイント

  • 他シリーズのキャラが登場していて嬉しい。
  • 岩清水刑事が可愛い
  • ミステリーのようなドキドキ感がある
  • 何回読んでも、結末に涙

4-2.怪盗クイーンの優雅な休暇

大富豪サッチモからクイーンに届いた、豪華客船への招待状。彼はクイーンに恨みがあって、命を狙っているらしい。

ところがお気楽なクイーンは、休暇を楽しむため招待に応じる。

船上で待ち受けていたのは、暗殺者集団の初楼に、探偵卿のジオット&助手の冥美。

さらに、サッチモの宝石を狙う王女イルマや、イルマを脅迫する謎の人物“グーコの竜”など。

各々の思惑が絡み合う中、クイーンが華麗に活躍する!

推しポイント

  • 初楼の初登場! 個性豊かな暗殺者集団!
  • ジオットのお茶目さ
  • イルマが可愛い
  • ミステリー的な展開
  • 大満足のボリューム

4-3.怪盗クイーンと魔窟王の対決

魔窟と呼ばれる人工島・四龍島を支配しているのは、王嘉楽。

彼は、所有者に成功をもたらす秘宝“ハーフムーン”を持っているという。その秘宝を手にできるものは、“ハーフムーン”に選ばれた、ごく一部の人間だけだとか。

怪盗クイーンは“ハーフムーン”を狙って四龍島へ乗り込んだ。

行く手を阻むのは、探偵卿のヴォルフや、王の秘書、偏狂な映画監督たち(⁉)

果たして、クイーンは予告を果たすことができるのか!

推しポイント

  • ヴォルフの初登場! かっこいいぞ!
  • ミステリー的な展開
  • ハーフムーンと王嘉楽の恐ろしさ
  • 映画撮影シーンのわくわく感
  • 小牙くんが可愛い

4-4.怪盗クイーン、仮面舞踏会にて ピラミッドキャップの謎前編

“ピラミッドキャップ”は、怪盗殺しと呼ばれる謎の秘宝。未だかつて誰も盗むことに成功していないという。

怪盗クイーンはこの怪盗殺しである“ピラミッドキャップ”を狙って、それが眠るドイツの“あべこべ城”に向かう。

時を同じくして、“あべこべ城”では仮面舞踏会が開かれることに。

そこに集結するのは、クイーンの師匠である皇帝や、ドイツの令嬢エレオノーレ率いるホテルベルリン、さらに探偵卿のヴォルフと仙太郎、不気味なジーモン辺境伯ら。

楽しいはずの舞踏会で、大波乱が巻き起こる!

推しポイント

  • “ピラミッドキャップ”の設定にわくわくが詰まっている
  • 皇帝のキャラの濃さ
  • ヴォルフと仙太郎のナイスバディ感
  • ジーモン辺境伯の恐ろしさ
  • 各章のタイトルの遊び心(ぜひ確かめてみてください!)

4-5.怪盗クイーンに月の砂漠を ピラミッドキャップの謎後編

前回に引き続き、ピラミッドキャップを狙うクイーンたち。

なんやかんやあって、舞台は遠く離れたエジプトに。

その上、なぜか月が地球に接近しつつあるらしく、このままでは衝突して地球が滅亡してしまう!

危機に気付いたクイーンたちは、一転、ピラミッドキャップを封印しようと試みる。

各々の思惑が絡まり合う中、ピラミッドキャップの奪い合いと、過去の確執による戦いなどで、事態は混迷を極める。

果たして、クイーンは地球を救うことができるのか??

推しポイント

  • 個性豊かなキャラクター達の総活躍
  • イルムがかわいそう……
  • ヴォルフ&ローテが可愛い
  • ヤウズたちも可愛い
  • クイーンと皇帝の安心感

※ちなみに私は、怪盗クイーンシリーズの中では本作が一番好きです。

4-6.怪盗クイーン かぐや姫は夢を見る

今回のテーマは、日本に古くから伝わる昔話『かぐや姫』。

そこに登場する不老不死の薬 “蓬莱” が、竹鳥村という場所にあるらしい。

蓬莱を狙って村へ向かうクイーンだが、間もなく消息を絶ってしまう。その一方で、同時期に突然現れた人物が、クイーンとそっくりな顔をした美女・春咲華代。

ジョーカーたちは、クイーンと華代について調べるため、竹鳥村に潜入する。

しかしそこには、クイーンに恨みを抱いている暗殺者や、ヴォルフたち探偵卿、さらに訳の分からないテレビ局まで集結していて、大騒動に。

クイーンは無事なのか?

そして、蓬莱の行方はいかに!

推しポイント

  • 衝撃に衝撃が続く展開!!
  • ヴォルフ&仙太郎が相変わらず良い
  • ヴォルフ&ローテも良い
  • クイーンが恨み買いすぎてて可笑しい
  • テレビ屋がいろんな意味でヤバイ

4-7.怪盗クイーンと悪魔の錬金術師 バースデーパーティ前編

ある日、クイーンのもとに“ヴォイニッチ文書”を盗み出してほしいという依頼が届く。それは、いわくつきの禁じられた古文書。

捜索に乗り出すクイーンたちだが、探偵卿のアンゲルス、ホテルベルリンに謎のゴーレムなど、例のごとく個性豊かなキャラクターたちが事態を複雑にする。

そして訪れたのは、なんと、世界の危機!?

一体どうなってしまうのか! と後を引く終わり方で、続編に続く。

4-8.怪盗クイーンと魔界の陰陽師 バースデーパーティ後編

そして続いた、バースデーパーティ後編。

窮地に陥ったジョーカーを救うため、クイーンは日本の原伊島へ向かう。そこには、願いをかなえる宝石 “クリスタルタブレット” があるという。

今までに出会ってきた様々な人物の助けを得ながら、クイーンは着々と目的に近づいていく。

一方、原伊島には、ホテルベルリンや探偵卿のヴォルフ&仙太郎、それにMicらが集まっているという。全員が狙っているのは、クイーンと同じ “クリスタルタブレット”。

さあ、勝利をつかむのは誰なのか?

そして、ジョーカーの運命やいかに!

推しポイント

  • 人気キャラ総集合✨
  • 願いをかなえる宝石って、やっぱり夢があるよね……と思った
  • Micのキャラの濃さ
  • 結末!!

4-9.怪盗クイーン ブラッククイーンは微笑まない

ある日突然現れた、怪盗クイーンの名を騙って数々の犯行を繰り返す人物 “ブラッククイーン”。

怠惰なクイーンは、彼が盗みをしてくれれば自分が仕事をしなくても済む! と喜んでいたのだが、ある日彼が盗み出すと予告したものを聞いて、態度を変える。

ブラッククイーンが狙っていたのは、“ホープ・エッグ”。

500年ほど前に、各地で奇跡を起こしたとされる謎の物体だ。

クイーンは、この “エッグ” に何やら思うところがあるようで……。

クイーンにブラッククイーン、そして探偵卿の三つ巴の戦いが幕を開ける!

推しポイント

  • クイーンのおきらくっぷり
  • “エッグ” や “フィニス・パクトゥン”の物語
  • 探偵卿ヴァドエバーの初登場

4-10.怪盗クイーン ケニアの大地に立つ

世界を沸騰させているのは、擬態の能力があるという新種の猫の発見。

クイーンは、その猫を狙ってアフリカのケニアへと向かう。

そこにいたのは、猫を狙う謎の科学者兄弟ゴンリー・ディンリーと、例のごとくホテルベルリン、それに探偵卿のヴォルフと仙太郎、マライカたち。

それぞれが異なる目的をもって動く中、猫の発見者である日本人・笠間文太も、少々厄介な出来事に巻き込まれていた。

猫の行方やいかに?

推しポイント

  • 擬態する猫が出てくる時点でもう面白い
  • 厭世的な文太の気持ちに共感
  • 相変わらずのメンバーに安心できる
  • メッセージ性が素敵

4-11.怪盗クイーン ニースの休日 アナミナティの祝祭前編

これはもう、ファン垂涎ものの一冊(いや、前編だから後編と合わせて一作)!

クイーンとジョーカーの過去がかかわってきます。

舞台は、タイトルにもある通り、リゾート地のニース。

クイーンはバカンスでニースを訪れていた。
ここには、“ポルタ”と呼ばれる門が開くと、地上に災厄があふれるという言い伝えがある。
そんなニースで地震が起きてしまい、“ポルタ”が開くのでは? という懸念が持ち上がる。

探偵卿内部などで混乱が生じる中、探偵卿ネアが、クイーンの逮捕を掛けた勝負を持ちかける。

さらにジョーカーは、“ある人物”との邂逅を果たして――??

推しポイント

  • クイーンの過去に何があったのか気になる!
  • ジョーカーの過去も……。
  • いつものことながら、伝承が面白い。やはり本格ミステリの系譜なのか。
  • 探偵卿ネア~~~!

4-12.怪盗クイーン モナコの決戦 アナミナティの祝祭後編

続きまして、後編。

ネアに勝負を持ち掛けられたクイーンは、早速受けて立つことに。

勝負の内容はルーレットにカーレース、そして〇〇の三本勝負。

勝敗の行方に注目が集まる中、勝負を邪魔する別の敵も現れて――?

一体、どうなってしまうのか!

推しポイント

  • 本当にクイーンの過去が気になる
  • 三本勝負がそれぞれ面白い
  • ジョーカー君かっこいい!

4-13.怪盗クイーン 煉獄金貨と失われた城

呪われた金貨である“煉獄金貨”は、スペインのある城に眠っているという。
今まで誰もその場所を知らなかったが、ある日突然、若きIT王者が場所を突き止めたと発表。

世界中の権力者たちを集めて、そのお披露目会を行うという。

この機会を逃すはずもないクイーンは、早速煉獄金貨を盗みに向う。
さらに、数々の探偵卿や料理人たちも一堂に集結して、何が何だか分からないことに――!?

物語はどこへ向かうのか!

推しポイント

  • 収容所出身の3人の絡みが可愛い
  • 皇帝、最強。
  • 新たなる探偵卿ラロの登場
  • 余裕綽綽のクイーン様

4-14.怪盗クイーン 楽園の名画を追え

ヴォルフとローテの結婚式回。

タヒチで開催されたミステリーツアー「ゴーギャンの遺作を探せ!」での宝探しがメインのお話。

新婚旅行で来ているヴォルフ&ローテのほか、主人公であるクイーンとジョーカー、その師匠の皇帝とヤウズ、イタリアマフィアの連中、ゴッホを名乗る謎の男などが参加している。

本来なら楽しい宝探しイベントのはずなのだが、開始早々、主催者が失踪を遂げる。

不穏な空気が漂う中、イタリアマフィアのライアンも失踪。
ライアンの部下は、ドイツのホテルベルリンによる策略ではないかと疑い、国際組織同士が一触即発の事態に。

新婚旅行をつつがなく楽しみたいローテ&ヴォルフと、ゴーギャンの遺作を見つけたいクイーンたち、目的の判然としない謎の男たち……各々の思惑が乱れた末、ミステリーツアーは予想外の結末を迎える――!

推しポイント

  • ヴォルフとローテの恋愛模様が最高! 絵でも文章でもいちゃいちゃっぷりが堪能できる。
  • クイーンとお師匠様はやはり最強
  • ヤウズの成長が感じられて良かった

以下は、番外編です。

4-15.オリエント急行とパンドラの匣

怪盗クイーンvs.名探偵夢水清志郎の物語。

家出(⁉)した怪盗クイーンに、クイーンを探しに来たパートナーのジョーカー、“黒猫”の双子と暗殺者のヤウズ、探偵卿のマンダリン、その娘ボタン、海賊の息子ジャックなど、個性的なメンバーがオリエント急行に集う。

それぞれが自分の思惑に沿って行動する中、“パンドラの匣”をめぐる新たな事件が起きてしまい――?

推しポイント

  • ジャックとボタンが可愛い
  • クイーンが可愛い
  • やっぱり教授は名探偵
  • 各々の思惑の入り乱れる感じがすごい

4-16.クイーンからの予告状

『いつも心に好奇心』および『怪盗クイーンからの予告状 怪盗クイーン エピソード0』に収録されている中編。

怪盗クイーンというキャラクターが初めて登場する作品。

倉木博士という天才博士が開発した、世界最高の人工知能 “RD”。
怪盗クイーンが、このRDを盗むという予告状を出す。

一方、名探偵の夢水清志郎たちは、それを防ぐために、博士の研究所を訪問。
万全の警備体制を敷くものの、クイーンの方にも抜かりはなく――さあ、勝敗の行方はいかに!

という物語。

別シリーズの主役である夢水と、本シリーズの主役であるクイーンの対決が見られる一作。
超オススメ。

推しポイント

  • 探偵vs.怪盗の結末
  • 倉木博士とRDの関係性
  • 展開の意外性

推しポイント

  • 探偵vs.怪盗の結末
  • 倉木博士とRDの関係性
  • 展開の意外性!!!
  • 『いつも心に好奇心』
    :こちらでは、松原秀行先生のパスワードシリーズの中編が一緒に楽しめます!
  • 『怪盗クイーンからの予告状 怪盗クイーンエピソード0』
    :こちらでは、怪盗クイーンシリーズの番外編が楽しめます!

4-17.面白い話が読みたい! 白虎編 収録作『出逢い』

クイーンとジョーカーの出逢いを描いた短編。

ジョーカーの暗い過去が分かる。左耳に着けているピアスの意味も。

切なくも面白い、とても素敵な一作。

推しポイント

  • 幼少期のジョーカー
  • ジョーカーの成長ぶりが分かる
  • クイーンの変化のなさも分かる……

4-18.面白い話が読みたい! ワンダー編 収録作『初楼 前史』

暗殺者集団・初楼がいかにして結成されたのかを、暗殺者の一人であるズキアの目線で描いた短編。

イカサマ師ズキアに、体術の得意なロシ&ロク、サイレンサー・クラサなど、個性豊かな面々の過去が分かる。

推しポイント✨

  • 初楼のことが好きになる
  • 特にズキアを好きになる……。悲しい。
  • ちらっと出てくるクイーンが素敵
  • 意外な展開

推しポイント

  • 初楼のことが好きになる
  • 特にズキアを好きになる……。悲しい。
  • ちらっと出てくるクイーンが素敵
  • 意外な展開

※4-15&4-18は『怪盗クイーンからの予告状 怪盗クイーン エピソード0』にまとめて再収録(K2商会先生による、新規描きおろしイラストあり)

5.その他の関連書籍

5-1.怪盗クイーン 公式ファンブック 一週間で分かる怪盗の美学

クイーンが執筆したという体の、怪盗の美学を学ぶためのテキスト。これはもう、タイトルだけで『買い』です!!

登場人物それぞれの詳細なプロフィールに、K2商会先生の美麗なイラスト、物語の裏設定、書き下ろし短編などがてんこもり。

とても面白い一冊でした。

5-2.はやみねかおる 公式ファンブック

はやみね先生のデビュー25周年を記念して刊行された、公式ファンブック。

怪盗クイーンのみならず、様々な著作についてまとめられています。

はやみね先生や、イラストレーターの先生などへのインタビューのほか、創作裏話、裏設定、人気投票、特別短編なども収録されていて、とても面白いです。

5-3.怪盗クイーン 100冊読書ノート

読書記録ノートです。

6.全巻通しての好きなポイント

6‐1.個性豊かなキャラクター

夢水シリーズを紹介した時にも触れたのですが、はやみね先生の作品には、魅力的なキャラが大勢登場します。

まず何といっても、主役がかっこいい!

精神年齢が幼稚園児並み(パートナー談)にもかかわらず、絶対に読者の期待を裏切らない、最高の怪盗がクイーンなのです。

こんなにも独特で魅力的なキャラを生み出せるなんて、本当にすごいと思います。すごいです。すごい。

脇を固めるキャラもまた秀逸で、個人的には、ヴォルフ&仙太郎のコンビが好きです。

あとヴォルフ&ローテも好きだし、もちろんジョーカー君も好きだし、シドが出てきたときには泣きそうになりました……。RDと倉木博士も良いですよね……。

本編読んでない方にはなんのこっちゃって感じだと思うんですが、とにかくキャラが良い! と、そういうことです。

ぜひ読んでみてください。

6‐2.コメディ部分の面白さ

本シリーズでも、はやみねギャグが炸裂しています。おそらく他のシリーズと比べても、特にコメディ色が強いのではないかと(特にピラミッドキャップ編以降?)。

単なるギャグだけじゃなくて、各キャラの個性があるからこそ成り立つ、ボケとツッコミの入り方も上手いなあと思わされます。

6‐3.トリックの秀逸さ

何度も書いてきましたが、ミステリ的な展開が見物です!!

展開の意外性やミステリー的な雰囲気という意味では、特に、「クイーンからの予告状」「怪盗クイーンはサーカスがお好き」「怪盗クイーンと優雅な休暇」「怪盗クイーンと魔窟王の対決」「オリエント急行とパンドラの匣」「怪盗クイーン、かぐや姫は夢を見る」あたりがおススメ。

それ以外は、キャラを好きになってから読んだ方がより楽しめるかなという印象を受けます。
(キャラ同士の掛け合いが面白い&物語がどんどん進展していくので)

6‐4.独自の世界観

はやみね先生の作品は、ほとんどが世界観を一にしています。

探偵と怪盗が活躍する「赤い夢」の世界であり、ゲーム作りに全力を注ぐ中学生コンビがいて、彼らに目を付けている謎の組織がいて、インターポールも単純な正義の組織というわけではなさそうで、さらには神のような存在と、並行世界の存在が示唆されていて……?

そんな、赤い夢の浪漫を全力で詰め込んだような世界観です。

夢水清志郎、怪盗クイーン、都会のトム&ソーヤ、虹北恭介、モナミなどを一通り読んだ後に、『令夢の世界はスリップする 赤い夢へようこそ -前奏曲-』を読むと、さらに詳しい構造が分かるかなという感じです。

しかも、今までは「なんとなく同じキャラが出てくるな」という程度の繋がりだったのですが、ここ数年で一気に世界観が深堀りされるようになりました。

特に怪クイとマチトム、令夢の3作で核心に迫っているというか、全容を明かそうとしている雰囲気が感じられるので、気になるところ。

最新作『怪盗クイーン 楽園の名画を追え』では、p.26の冒頭に思わせぶりなやり取りがありました。
そう、ヴォルフとローテの関係って、シリーズを通して読んでいると、若干不自然な部分があるんですよね……。
ここまで計算されていたとは。

この世界観がどこに収束するのか、非常に気になります!!

昔読んで忘れてしまっている部分も含めて、改めて読み直したいなと思いました。

7.若干引っ掛かる点

怪盗クイーンシリーズは、設定がぶっ飛んでいるうえに終始ギャグ調なせいで、突っ込みが追い付かない作品です。
基本的に、それは良い意味での面白いツッコミなわけですが、それ以外で個人的に引っ掛かりを覚えてしまう要素もありました。

それは、茶魔の扱いです。

茶魔は、暗殺者集団“初楼”のメンバーの一人です。

筋骨隆々とした男性で、唇に、毒を仕込んだピンク色の口紅を塗っています。
鍛え上げた筋肉でターゲットを捕獲し、無理やり接吻することで死に至らしめるという暗殺スタイルです。

しかし、「初楼としての真価は、パワーではなく、おぞましい見た目にある」(『怪盗クイーン 公式ファンブック 一週間で分かる怪盗の美学』p.65)とされています。

絵をそのまま貼るのは著作権的に微妙なところなので、言葉での描写を引用させていただくと
「たくましい肉体を、露出多めのトレーニングウエアでつつんだ、角刈り&八の字ヒゲの筋肉男」(引用元は同上)
とのこと。
これに加えて、先ほど述べた「ピンク色の口紅」ですね。
また、「バチン!」という効果音付きのウインクをしたり、「~なのよん。」といった語尾で話したりします。
そういった言動を総体的に見て「おぞましい」と言われています。

これについて何が引っ掛かったかというと、「これってホモフォビアの助長に繋がらない?」ということです。

こうした問題は扱いが難しいので、やたらと指摘するのもどうなんだろうなとは思います。
ただ、だからといって何も言及せずに紹介を終わらせてしまうのは無責任な気がするので、自分が感じたことは素直に記録しておくことにしました。
以下、批判的な内容が続くため、読みたくない方はブラバしてください。

ホモフォビアというのは、同性愛嫌悪という意味です。
同性愛を気持ちの悪いものとして描いたり、嫌ったり、差別したりする行為は、ホモフォビアの助長に繋がるとして懸念されています。
※詳しく知りたい方は「ホモフォビア」で調べてみてください。

怪盗クイーンシリーズにおける茶魔の描き方は、まさしくこれに該当するのではないかという気がしました。

なぜなら、「いかにも男性らしい体格の人間が、女性らしい言動を取ること」に滑稽味を見出しているからです。

ここで注意しておきたいのは、何も、茶魔のようなキャラ(口紅を塗った筋骨隆々の男)を登場させること自体が悪いわけではないということです。

問題は、そのキャラをどう扱うかです。

例えば、茶魔のようなキャラを笑いものにする目的ではなく、ごく普通の登場人物の一人として登場させるのは全く問題がないと思います。

また、笑いものにするのだとしても、あくまでもそれが現実をそのまま描写した、問題提起的な意味での描写なのだとすれば、それも問題がないと思います。
(問題提起などという大袈裟なものではなくても、普通に世の中にあるものとして淡々と描くのは自然なことかなと思うっていう意味です。リアリティを持たせたいなら、そうならざるを得ない面があるよねっていう。……表現が難しいけど、伝わってほしい……)

またあるいは、笑いものにする人もいればそうでない人もいるといった多様性がある程度示されているのであれば、それもそれで構わないと思います。

ただ茶魔の場合は、「いかにも男性らしい体格の人間が、女性らしい言動を取っているから、気持ち悪くて笑える。みんなも可笑しいと思うよね?」みたいな扱いになってしまっている気がするんですよね。
先ほどから引用しているファンブックの65ページに「9月9日(※茶魔の誕生日)は『男色の日』なんだそうだ。これは偶然なんだろうか……」というクイーンのセリフがあることからも、このことが感じ取れます。

このような扱い方をすると、同性愛そのものを嫌悪しているように見えてしまうため、あまり良くないのではないかと思いました。

はやみね先生の作品の一部に共通して言えることなのですが、堀越ディレクターの描き方などから鑑みても、あえて「面白さ」の比重を重くしている面があるような気がするんですよね。

ポリコレ的にアウトか否かではなく、自分が面白いかどうかを重視しているというか。
(もちろん児童書であることも手伝って、露骨にアウトな表現や、ものすごく際どい表現は出てきません)

したがって、繊細な人であればあるほど、ちょっと首をかしげたくなるギャグが含まれるのかもしれないなという危機意識を感じています。
というか私自身が、たまに首をかしげたくなることがあります。
それでも、昔から読み続けているため思い入れが強い&話とキャラが面白いので、読んでしまうのですが。
しかしながら、今まで書いてきた理由によって、ツッコミ役の意見にも諸手を挙げて賛成できるわけではないというか……万人に対して積極的におススメできるわけではない……ということは、ここで言っておきます。

※以前こちらの記事『【名探偵夢水清志郎シリーズ】既刊紹介とオススメポイントについて語る!!』で紹介した夢水シリーズの方は、そう言った面もマイルドなので、万人にオススメできます。

そしてもう一つ言っておくと、だからといって、こうした表現を排除すべきだとは全く考えていません。
表現の自由を守るために、表現規制は認めたくないというのが私の考えです。
そもそも、今まで書いてきたような話は主観的な意見にすぎません。
はやみね先生が実際にどのようなことを考えて描写していらっしゃるのかは分かりませんし、読者の中に私と同じような読み取り方をした人がどのくらいいたのかも知りません。
また、言葉や表現は、それが使われる文脈・背景次第で、大きく意味合いが変わります。ゼロか百かで一律に判断することは困難です。
したがって、「この表現はホモフォビアだからアウト! ダメ! こんな作品読むべきじゃない!」とは思わないのです。
ホモフォビアに繋がるか否かの判断はとても難しいし、仮に繋がるとしても、その作品が世に出ることを規制することはできません。規制するべきでもありません。
ただ、世に出た作品を批判する権利はみんなが持っているし、それに反論する権利もみんなが持っているし、そうした諸々の結果が、作品の売り上げや、これからの社会に反映されていくんだろうなと思っています。
(こうやって社会が健全に機能するためには、声が大きいだけの理不尽な意見が通ってしまわないようにする体制作りも必要だとか何だとか色々思うところはあるのですが、長くなってしまうので、今回はこのあたりで記事を締めます)

8.まとめ

以上、はやみねかおる先生の『怪盗クイーン』シリーズについて語りました!

興味のある方は、ぜひ読んでみてください!

それではまた。

甘抹らあでした!

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