【おすすめ本紹介】個人的な好みで選んだ児童文学の傑作4選【小学生から大人まで】

今回は、私が大好きな児童文学を4冊紹介してみたいと思います。
児童文学の定義がちょっとよく分からないので、とりあえず「小学生でも楽しめる本」を目安に選びました。もちろん、大人にとっても魅力的な作品だと思います。

いずれの作品も、辛いときに読んで心が救われたものです。

気になるものがあれば、ぜひ読んでみてください。

※記事内のURLは商品の参考として載せているものです。リンク先からご購入される場合には、必ず各自の判断でお願いいたします。

中田永一『くちびるに歌を』(小学館)

合唱コンクール(Nコン)に向けて練習する中学生たちの物語です。
課題曲は『手紙~拝啓 十五の君へ』。実際に存在する、アンジェラ・アキさんの楽曲です。
合唱部員の各々が、実際に十五年後の自分に向けて手紙を書き、仲間たちで練習を重ねながら成長していく姿を描きます。

先生も含めた一人一人に、家庭環境や自分自身にまつわる悩みがあり、その悩みが克明に描き出されていました。
読みながら何度も胸が苦しくなるのですが、それだけに、コンクール当日の感動は一入でした。

構成も工夫されていて、飽きることなく、ぐいぐい物語に引き込まれます。
適度に謎を出したり解明したりしながら進んでいく様は、ミステリーと繋がる部分があるかもしれません。

私は特に、桑原サトルに感情移入しながら読みました。そして、結末に勇気をもらいました。

「泣ける」という宣伝文句はあまり好きではないのですが、この作品を読むたびに、必ず泣いてしまいます。
その涙は辛いものではなく、むしろ泣くことによって心が軽くなるのを実感させれます。

本当に素晴らしい作品なので、未読の方はぜひ一度手に取ってみてください。

映画化もされているようです。私は見ていないのですが、気になる方は観てみてはいかがでしょうか。

なお作者の中田永一先生は、乙一先生と同一人物です。
他に山白朝子などの名義もあります。
ミステリーからファンタジーまで様々なジャンルで、そして様々な作風で作品を発表されています。

『夏と花火と私の死体』がデビュー作です。面白いので、ぜひ!

森絵都『カラフル』(文春文庫)

死んだはずの「ぼく」の前に天使が現れ、再挑戦のチャンスを与えてくれた。
再挑戦の内容は、自殺した小林真という少年の体にホームステイし、生前の自分の罪を思い出すというもの。
それができれば、「ぼく」の魂は無事に昇天し、輪廻転生のサイクルに戻れるらしい。
小林真として再挑戦に挑む「ぼく」は、様々な人と関わるなかで、多くの気づきを得る――という物語。

「ぼく」の体験を追いながら感動する一方で、「ぼく」の犯した罪が何なのかという最大の謎について考えるのも楽しい作品です。
重い内容を扱っているにもかかわらず、読み口が軽く、すらすらと読むことができます。

この作品も先ほどの『くちびるに歌を』と同様、読むたびに泣いてしまいます。
また、特に好きなのはこのシーン! というのを上げようと思ったのですが、一向に決められないくらい、どのシーンも好きです。
途中で飽きるとかダレるとかいうことがなく、最後まで一気に読まされます。とにかくもう、本当に面白い!

こちらも、未読の方はぜひ手に取ってみてください。

アニメ映画化もしています。

また、Amazon primeで2022年2月11日から実写映画も配信されています↓

宮部みゆき『ブレイブ・ストーリー』(上/中/下)(角川文庫)

映画化・ゲーム化もされている超大作です。いろいろ語りたいことはありますが、まずはとにかく面白い。
どこから切り込んでいっても、最終的には「面白い!」という感想に帰着しそうです。

そして、生きていくうえで必要な勇気がもらえます。まさに「ブレイブ・ストーリー」。
映画の売り文句には「これは、ボクの勇気のハナシ」とあった気がします。
その通り、この物語を貫くキーワードは「勇気」なのです。
ここで、根性論的な話かな? と腰が引けてしまう方が、もしかしたらいるかもしれません。
しかし、尻込みする必要などどこにもないのです。自分に勇気がないと思っている人、あるいは勇気が無くてもいいじゃないかと感じている人……色々あると思いますが、どんな方にも、是非一度は手に取ってほしいです。後悔はさせません。

また、これだけ長い(文庫本3冊分)のに、読書時間が一瞬に感じられるほど、ぐいぐい読み進めることができます。
初めて読んだ時なんて、寝られなくて夜通し読みました。本当に面白いです。

長い話なのですごく端折ることになるのですが、簡単にあらすじを書くと、以下の通り。

主人公・三谷亘(小学五年生)は、両親が離婚することになり、母親とともに精神的に追い詰められています。
同じ頃、亘の学校にやってきた転校生が芦川美鶴です。美鶴は謎の多い少年で、非常に大人びており、何か不思議な力も持っていました。
最初は美鶴を快く思っていない亘ですが、なんやかんやあって、彼の導きで幻界〈ヴィジョン〉へ旅立つことになります。
幻界で亘や美鶴は「旅人」と呼ばれており、宝玉を集めて運命の塔に辿り着けば、願いを叶えてもらえるというのです。
亘は、両親の離婚によってめちゃくちゃになってしまった運命を変えたかったので、「旅人」になる決意を固めます。そして仲間たちとともに、運命の塔を目指すのでした。
もちろん、一筋縄で終わる旅ではありません。
まず、ミツルとは旅人同士なので別々に旅をすることになります。つまり、最初はワタルが自分で頑張らなくてはならないのです。(※幻界では、亘はワタル、美鶴はミツルと、カタカナ表記になる)
また、差別を目の当たりにしたり、事件や陰謀に巻き込まれてしまったりと、さまざまな試練が待ち構えています。その一方では、個性豊かな仲間たちとの貴重な出会いもあり、ワタルは喜怒哀楽さまざまな経験をすることとなります。
果たして、ワタルは運命の塔に辿り着けるのか? ミツルの方はどうなのか? 二人の願いは叶うのか? 最後に何が起きるのか?
――といった内容です

私の説明では魅力が半減している気がするので、とにもかくにも、ぜひ一度、読んでみてください!

  • 小説
  • アニメ映画
  • ゲーム
    ほとんどゲームをやらない私ですが、このDSソフトは何十回もプレイしました。めちゃくちゃ面白いです。ミステリーや脱出ゲームが好きな方にオススメ!(プレステの方は分かんないです。やってみたい)

さとうまきこ・牧野千穂『犬と私の10の約束――バニラとみもの物語』(ポプラ社)

「みも」という女の子と、ゴールデンレトリバーの「バニラ」の物語です。
みもが6歳の時にバニラを飼い始め、大学生になるまでの姿を描きます。
とても長い期間ですから、みもの生活は時期に応じて大きく変化し、それにともなってバニラとの関係も変わります。

私は、みもが絵を描くことが好きだったことや、友人関係で悩んでいたことに共感しながら読みました。
みもが等身大の女の子なので、自然と感情移入できるのです。

要所要所に印象的な出来事を挟みながら、一人の女の子の人生が描かれます。
これといった大きな物語(たとえばミステリーみたいな謎とか、巨悪による陰謀とか、コンテストに向けて頑張るという目標とか)があるわけではないのですが、
それだけに、ただただ共感し、みもの人生を追体験するような気持ちで読むことができました。

とても素敵な作品です。

ぜひ手に取ってみてください。

※映画『犬と私の10の約束』とは別物です。

まとめ

以上4作品、自分が大好きな作品を紹介してみました。
普段あまり読書をしないなという方にも、素敵な作品を知ってもらえたら嬉しいです!

甘抹らあでした!

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