【Photoshop】オリジナルブラシを作ってみよう【ブラシ設定の見方など】

こんにちは、甘抹らあです。絵を描く人です。
今回は、Photoshopでオリジナルのブラシを作ってみます。

私がPhotoshopを使い始めた時、まず困ったのがブラシ設定でした。
アナログで描く時と全く感覚が異なるので、「どうすれば思い通りの線が引けるの?」となってしまったのです。
今でも、色々なブラシを試しながら、一番しっくりくるものを探している状態です。

そこで今回は、実際にブラシを自作しながら、ブラシ設定の内容について見ていきます。
ご参考になれば幸いです。

ただ、いきなり自作するのは難しいですから、最初は既存のブラシを探してみる方が良いと思います。
Photoshopでダウンロードできるものや、pixiv等でほかの方が配布してくれているものなど、既存のブラシもたくさん存在しています。深くこだわらないのであれば、それで十分かもしれません。
それだけだと満足できなくなった時に、新しいものを自作するような感じです。

では、実際にブラシを作っていってみましょう。
今回は、以下の4種類のブラシを作っていきます。

  • スパッタリングができるブラシ
  • 雲ブラシ
  • トーンみたいなブラシ
  • 入り抜きができるブラシ

です。

1.スパッタリングができるブラシを作る

まずは、1000×1000px程度のキャンバスを用意します。

その後、適当に点を打ちましょう。本当に適当です。ものすごく適当です。

色は無彩色にします。
ブラシを作るときには、基本的には黒一色しか使いません。
(よりランダムなブラシにしたいときには、明度の違う灰色を混ぜてもいいです。)

こんな感じです。
左が、黒一色で描いた場合。右が、灰色を混ぜて描いた場合。

ブラシ設定1 スパッタリングブラシ(黒一色)
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ブラシ設定2 スパッタリングブラシ(灰色)
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これができたら、「編集」→「ブラシを定義」の順に操作します。

そうすると、ブラシパネルの下の方に、今自分が作ったブラシが追加されるはずです。

とりあえずこれで、新しいブラシができました。
しかし、このままではスパッタリングブラシにはなりません。

今作ったブラシで描こうとすると、このようにビヨーンと変な線ができるだけです。

ブラシ設定3 スパッタリングブラシ(変更なし)
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そこで、ブラシ設定を変更していきます。

たくさん項目があるので、上から順番に見ていきましょう。

まず、「ブラシ先端のシェイプ」

ブラシ設定4 ブラシ先端のシェイプ
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これは名前の通り、ブラシの先端がどんな形になるのかを決める項目です。

スパッタリングブラシを作るときに大事なのは、「間隔」と書かれている部分。
ここでは、ブラシで描画した際に、どのくらいの間隔を開けるのかを設定できます。
間隔を狭くすればするほど、自然な直線になり、間隔を広げれば広げるほど、ブツ切れの直線になるような感じです。
今回は、間隔を広くとってみました。
すると、下のような線が引けます(ブラシを付けたまま、横一直線に動かして描きました)。

ブラシ設定3 ブラシ先端のシェイプ変更
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さっきよりも、少しスパッタリングっぽいのではないでしょうか。

次に、「シェイプ」の項目を見ていきます。

ブラシ設定5 シェイプ
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ここではサイズや角度などの「ジッター」というものを調整できます。
ごく簡単に言うと、このジッターを上げれば上げるほど、ブラシの形状がランダムに変わっていくというものです。

例えば、ジッターが全部0%なら、ブラシのサイズや角度は常に一定です。
しかし、ジッターを上げれば、筆圧に応じてサイズが変化するようにしたり、ランダムにブラシの角度が変化するようにしたりすることができます。

分かりにくいと思うので、具体的に見ていきましょう。

左が、先ほどのままのブラシで描いたもの。右が、サイズのジッターを上げたブラシで描いたものです。

ブラシ設定3 ブラシ先端のシェイプ変更
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ブラシ設定6 サイズのジッター変更
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どちらも真っ直ぐ横一直線に動かしたのですが、サイズのジッターを上げた方では、線幅が太くなったり細くなったりしていることが分かるでしょうか?

次に、角度のジッターも上げてみましょう。
すると、このようになります。

ブラシ設定7 角度のジッター変更
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今度は、点々の集まりの向きも変わったことが分かります。かなりランダムになりました。

最後に、真円率のジッターも上げてみます。

ブラシ設定8 真円率のジッター変更
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すると今度は、ブラシ先端が押し潰された感じになるので、楕円形が生まれます(図が小さくて申し訳ない!)。
今回は正円だけのスパッタリングブラシが作りたいので、後から真円率のジッターは0%に戻しておきました。

これを見てもよく分からないよーという方は、自分で実際にいじってみてください。色々試してみると、「ここをこうするとこうなるんだな」というのが分かってくると思います。

「シェイプ」の項目はこれで終わりです。

次に、「散布」の項目を見ていきましょう。
読んで字のごとく、ブラシの軌跡をどのくらい散らばらせるかの設定です。

「散布」を上げると、こんな感じでバラバラに描けます。(ブラシは真横一直線に動かしているだけです)

ブラシ設定9 散布の変更
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さらに「数」「数のジッター」を上げると、密度が上がり、粗密をランダムに作ることができます。

ブラシ設定10 数のジッターなど変更
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続いて、「テクスチャ」の項目が待っていますが、今回ここは飛ばします。
※あとでトーン系のブラシを作るときに説明します。

「デュアルブラシ」は、複数のブラシの性質をミックスできるよ!みたいな奴です。
私はイマイチ使いこなせないので、特にいじらずスルーしています。

次に変更するのが、「カラー」の項目です。

ブラシ設定11 カラーのジッター
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ここでは、色や明るさをランダムに変更できます。

分かりやすいように赤で描きますが、全て0%のままだと、このように一定の色で描画することができます。

ブラシブラシ設定12 カラー変更前
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一方、それぞれのジッターを上げていくと、このように色をランダムに変えることができます。

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どのくらい変更したいかは、各々の好みや用途に合わせて調整してください。

次に見るのが「その他」の項目です。

ブラシ設定14 その他
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ここでは、簡単に言うと、色の濃さをランダムに調整できます。

「不透明度のジッター」を上げれば、透明な部分と不透明な部分がランダムに生まれますし、「インク流量のジッター」を上げれば、流量が多い部分と少ない部分がランダムに生まれます。

それぞれちょっとずつ上げてみたものが、こちらです。

ブラシ設定15 その他変更後
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よく見ると、ところどころ半透明になっていることが分かるでしょうか?

ちなみに一番最初に、ブラシを作るときには、黒一色ではなく灰色を混ぜてもいいよという話をしたのですが、それは透明度の話と関係しています。
ブラシを作る際に黒で描いた部分は不透明度が100%になり、明度が上がるにつれて、不透明度が下がっていくのです。これは、この「その他」の項目をいじらなくてもそのようになります。
つまり、灰色を混ぜて作った方のブラシは、最初から灰色の部分が半透明になっているということです。
ちょっと言葉だと伝わりにくいかもしれませんが、気になる方は実際に試してみてください。

残りの項目は、お好みでチェックを付けたり外したりしてみてください。

「ブラシポーズ」は、ペンタブなどを使用している場合に、ペンの傾きや回転をどのくらい反映するかっていう話だと思います。
今回みたいに、あらゆるジッターをあげまくっている場合には、あまり関係ないかなという感じです。

「ノイズ」は、ざらざらしたノイズを付けるかどうか。

「ウェットエッジ」は、水彩境界のような縁取りが生まれるもの。

「重ね描き効果」は、一か所でクリックし続けた時(ペンでグッと押し続けた時)に、ブラシサイズがどんどん大きくなっていく効果。

「滑らかさ」は文字通り、筆跡を滑らかにしてくれる機能。
今回はスパッタリングなので不要かなと思います。チェックしてもしなくても大差ないです。

「テクスチャの保護」はそうしたい理由が無い限り、オフにします。
よく分からない時にはオフにしておけばいいと思います。ていうか私もよく分かってないです、ごめんなさい。

さてこれで、一番下の項目まで確認することができました。
このように作ったブラシで描いたものが、こちらです。

ブラシ設定16 スパッタリングブラシ完成
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ランダムに点を打つことができる、スパッタリングブラシができました。

この絵は、投げ縄ツールでハートマークを描いてから、選択範囲を反転させ、スパッタリングブラシを使用して描きました。

このようにアナログでやるスパッタリングと同じように使うこともできますし、イラストの最後の加工に使うこともできます。
ちょっとグロイ話になりますが、血しぶきを描くのにも使えるでしょう。

作ったブラシは、ブラシ設定パネルの右下にある+マークから新しいブラシとして登録することで、いつでも使えるようになります。

2.雲ブラシを作る

次に、雲ブラシを作ってみます。雲だけではなく、煙のように何かモワモワとしたものを描く時全般に使えるブラシです。

この場合、実際の雲の写真をもとにするのが速いと思います。
今回は、この写真を使ってみましょう。

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写真については基本的に、素材サイトなどから持ってくるのではなく、自分で撮影したものを使います。
(もちろん規約違反にならないのであれば、素材サイトなどから持ってきても大丈夫です。その辺は各自の判断でお願いします)

まず、白黒に変換します。
レイヤーパネルから、「新規調整レイヤー」→「白黒」の順に操作します。

そうすると、このようにモノクロになりました。

ブラシ設定18 白黒化
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次に、もっと白黒の度合いをハッキリとさせたい(雲の部分だけを白く、それ以外を黒くしたい)ので、カラーバランスみたいなところを調整していきます。
空の色は青系なので、プロパティパネルの「シアン」「ブルー」の明度を下げてみましょう。
するとこのように、白黒がハッキリとしました。

ブラシ設定19 白黒クッキリ
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このあと、さらにもう少しだけ手作業で調整し、ブラシに反映したくない部分を全部黒で塗りつぶします。
雲の形が不自然にならないよう、ぼけ足の強いブラシを使いました。
この作業を怠ると、ブラシが雲の形ではなく、このキャンバスの四角い形になってしまうので、気を付けましょう。
今回は、このように調整してみました。

ブラシ設定20 形調整
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では次に、白黒を反転させます。
ブラシを作る際には、黒で描いた部分がブラシ先端のシェイプになるからです。
今のままだと、雲ではなく、その周りの空の部分がブラシとして登録されてしまいます。

表示レイヤーを結合させてから、「イメージ」→「色調補正」→「階調の反転」と操作すると、白黒が反転して、このようになります。

ブラシ設定21 階調の反転
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あとは先ほどと同じように「編集」→「ブラシの定義」の順に操作します。
すると、黒い部分がブラシとして登録されます。

ここからさらに、ブラシ設定を変更していきましょう。

分かりやすく、背景を青に、描画色を白にしました。

まず、何も変更せずに、このブラシでぽんぽんと点を打つようにすると、こんな感じの雲が描けます。

ブラシ設定22 雲変更前

これはこれで綺麗なので、このままでも良いでしょう。

ただ、このブラシでビーッと直線を引くように動かしてしまうと、こんな線が引かれてしまいます。

ブラシ設定23 雲の直線
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これはあまり、雲らしくないですね。

そのため、ぽんぽんと点を打つような感じ以外の使い方をしたい場合には、またブラシ設定を変更していきます。
スパッタリングブラシを作るときと同じように操作していくので、詳しい説明は省きます。
お好みの具合に調整してください。

そんな感じで作ったブラシで描いたものが、こちらの雲になります。

ブラシ設定24 雲ブラシ完成
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新しく作ったブラシは、きちんと登録しておくのを忘れないようにします。

3.トーンみたいなブラシを作る

今度は、漫画などでよく使われる、スクリーントーン的なものが描けるブラシを作ります。

今回の場合、ブラシ設定をいじるよりも先に、まずはパターン(ここでは、トーンとして使いたい模様のこと)を制作します。

この時に気を付けなくてはいけないのは、シームレスになるようにすることです。
シームレスとは、「継ぎ目が無い」という意味です。

たとえば、下の画像はシームレスです。

ブラシ設定25 シームレス

この画像をぎっしり敷き詰めたとしても、どこに継ぎ目があるのかは分かりません。

ブラシ設定26 シームレスの証明
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こんな感じの画像を、まずは自分で用意します。対象ツールなどを利用すると、描きやすいのではないかと思います。

用意できたら次に、その画像をパターンに追加します。
画像を開いた状態で「パターンパネル」を表示(見つからない場合は「ウィンドウ」から探します)し、右下のプラスマークを押すと、パターンに追加することができます。

ブラシ設定27 パターンに追加

続いて、何か適当なブラシを選び、そのブラシ設定を変更していくというやり方で、新しいブラシを作ってみます。

例えば、デフォルトのハード円ブラシを選択します。

ブラシ設定を開き、「ブラシ先端のシェイプ」の「間隔」を1%に変更。(ここは正直、1%じゃなくてもいいんですが、一応低くしておきます)

ブラシ設定28

次に、「テクスチャ」にチェックを入れ、先ほど登録したパターンを選択します。
(一番上の小窓みたいな場所をクリックすると、パターンが選択できるはずです)

そして、「描画モード」を「減算」に変更。「深さ」は100%にしておきます。

「拡大・縮小」の項目は、実際にペンで描いてみて、適当なパーセンテージに調節します。

ブラシ設定29
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これで、終了です。
他の項目はいじりません。

こうしてできたブラシで描いたものが、下の図になります。

ブラシ設定30
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今回は、投げ縄ツールでハートマークを描いてから、その中をこのブラシで塗ってみました。

トーンみたいな感じで使えて便利です。
もちろん、描画色を変更すれば違う色でも描けます。

今まで同様、新しく作ったボタンは、ブラシ設定パネルの右下にある+マークから登録しておきます。

4.入り抜きブラシを作る

入り抜きができると、線画を描くときとかに便利そうですよね。ということで、入り抜きができるブラシの作り方です。

もっともこれに関しては、Adobeでダウンロードできるものや、先人たちが有償/無償で配布してくれているものなどを使えば事足りる感があるので、そこまで必要ないかもしれません。

自分で調整してしっくりくるものを作りたい! という方は、参考にしてみてください。
これをもとに、デュアルブラシやら何やらの他の設定項目も変更していけば、自分なりのブラシができると思います。

まず、普通のハード円ブラシを選択し、ブラシ設定を開きます。

その後、「シェイプ」を以下のように調整しましょう。

  • 「サイズのジッター」→0%のまま、「コントロール」を「筆圧」に。
  • 「角度のジッター」→0%のまま、「コントロール」を「進行方向」に。
    ※これが何気に大事な気がする。
  • 「真円率のジッター」→0%のまま、「コントロール」を「筆圧」に。
ブラシ設定31 入り抜きブラシ

以上です。

これだけで、こんな感じの入り抜きの線が描けます。

ブラシ設定32 入り抜きブラシ完成
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左が通常のハード円ブラシ(サイズのコントロールのみ「筆圧」になっているもの)で、右が今回作ったブラシです。

他の項目は、お好みで調整してください。

そして作ったブラシは忘れずに、新規登録しておきます。

まとめ

以上、実際に4種類のブラシを作りながら、ブラシ設定について見ていきました。
最初は戸惑うかもしれませんが、一つ一つゆっくり確認しながら進めていけば、なんとなく感覚が掴めるはずです。
私も、デュアルブラシなどまだよく分かっていない部分があるので、ちょっとずつ研究していこうと思います。

少しでもご参考になれば幸いです。
では、また一緒に頑張っていきましょう!
甘抹らあでした!

Twitter→@amamatsu_lar

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