【初心者向け最初の一歩】ストックイラストの始め方と、実際に使ってみた所感【イラストAC/PIXTA】
みなさんこんにちは。イラストレーターの甘抹らあです。
今回は、イラストのストックサイトについてまとめてみました。
簡単な使い方と、実際に使ってみてどうだったかというお話です。
よかったら参考にしてください。
なお、ここに記載するのは全て「クリエイターとしての」利用方法です。
ダウンロードユーザーとしての利用方法には詳しくないので、必要な場合は、各自で調べるようにしてください。
【イラストAC】
概要
イラストACは、素材を無料でダウンロードできるサイトです。
ダウンロードが無料なので、利用者としては非常に気軽に使うことができます。営利目的の利用や加工も可能です。
一方、作者は1回ダウンロードされるごとに少しだけ利益を分配してもらえます。
売り上げの一部は日本赤十字社および国立美術館に寄付されているそうです。
(参考:イラストACホームページ「利用規約」および「社会貢献」)
特徴としては、気軽にダウンロードしてもらえるので、ダウンロード回数が伸びやすいことが挙げられます。
この後くわしく書きますが、そこまで工夫しなくても、平均して1日1回程度ダウンロードしてもらえるのです。
地道に続けていれば、良いお小遣い稼ぎになるのではないでしょうか。
こうやって書くと良いことづくめのようですが、作者に対しては、登録した作品の著作権を譲渡すること&著作者人格権を行使しないことという規定があります。この点だけ、要注意。
ただしポートフォリオ等で「この素材を描きました」と紹介するのはOKみたいです。
私もたくさんポートフォリオに入れていますが、警告を食らったことはありません。
★著作者人格権と著作権★
著作者人格権:作品を作った人だけが得られる権利。譲渡することはできない。
「作品をいつどこでどうやって公表するのか決める権利」
「作品に作者の名前を表示するのか否か、表示するのであればどんな名前を表示するのかを決める権利」
「作者の意図に反する改変を認めない権利」など。
著作権:作品をどのように扱うのかに関する権利。譲渡することも可能。
「作品を印刷したりコピーしたりする権利」
「作品を公表する権利(公表する手段は、様々なものが考えられる)」
「作品を人にあげる権利」
「作品を翻訳したり、改変したりする権利」など
※ケースバイケースなところもあって複雑なので、詳しくは各自で調べてください!
使い方
利用を始める際には、まず本人確認が必須となります。
本人確認に使える書類は、以下のいずれかです。
・運転免許証(表面。記載事項がある場合は裏面を含む)※有効期限内のもの
・住民票(氏名・住所・交付日が記載されている面)※交付から6ヶ月以内のもの
・住民基本台帳カード(表面。記載事項がある場合は裏面も含む)
・パスポート(①顔写真・名前・生年月日が記載されたページ ②現住所が記載されたページの両方)※有効期限内のもの
・外国人登録証明書(表面・裏面)※有効期限内のもの。また提出日が在留期限と次回申請の間であること。
・健康保険または被保険者証(氏名・住所・生年月日が記載されている面)※「記号」「番号」「保険者番号」をマスキングしたもの「クリエイター必読!本人確認書類ご提出について | ACワークスのブログ」(2021年11月20日閲覧)
イラストの投稿画面は、こんな感じです。
わりと直感的に使えるんじゃないかなと思います。
JPEGデータの登録は必須。任意で、これにPNG、EPS、AIデータを追加することができます。
推奨サイズはW1600px×H1200pxとのことで、さほど大きくありません。
登録した素材は、すぐに販売開始されるわけではなく、審査に通ってから販売が始まります。
この時チェックされるのは、作品のクオリティやタグ付けの正確さなどのようです。
私は何度かリジェクトされたことがあるのですが、理由は大きく分けて3つでした。
1.イラスト素材としてふさわしくない
素材としてのクオリティを満たしていないからダメだよってことですね。
アート(芸術)としての価値があるか否かではなく、素材としてのクオリティを満たしているか否かでチェックされています。
正直、基準がよく分からないのですが、あまりにも下手(雑)すぎる場合や、素材として使えなさそうな場合にはリジェクトされるようです。
2.画面内に汚れがある
塗りがはみ出てしまっていたり、背景の部分に余計な汚れが付いていたりするとリジェクトされます。
3.タグ付けが不正確
適切ではないタグを付けてしまうと、リジェクトされます
例えば、女の子の絵に「犬」っていうタグを付けるみたいな。
これは極端な例ですが、もっと微妙なラインでもリジェクトされてしまうことがあります。
私は、アクリル板の仕切りの絵に「感染症対策」等のタグを付けたらリジェクトされました。
また、ほかの方のブログなどを見ていると、タグ付けの順番にも意味があるみたいです。(優先度・関連性が高いタグを最初の方に入力するべき)
※「説明」と「チュートリアル」に関しては、ほぼ登録したことがありませんが問題ありませんでした。
実績
私は2021年2月に素材登録を始め、まずは100点登録すると決めました。
予定通り、4月頭までに100点の素材を登録。
(その後1点削除したため、現在は99点になっています)
最初は様々なジャンルのイラストを投稿していたのですが、途中からは「スイーツ系」に絞って登録していきました
実際に登録していたイラストが、下の作品です。
それから約9カ月経過しました。成果は、以下の通りです。
2021年11月22日現在のポイントは合計1640.7pt。
合計ダウンロード回数は303回。
平均すると、1日1回程度ダウンロードされたことになります。
換金申請は5000ポイント以上貯まってからじゃないとできないので、まだ換金していません。
この数字を見て多いと思うか少ないと思うかは人それぞれでしょう。
が、個人的には少ないと思います。
本腰を入れて取り組めば、もっと伸ばすことは可能なはずです。
そう思う理由は3つあります。
●1つ目:そもそも私の絵が下手だったこと
当時は、今と比べてもかなり絵が下手でした。特に、人物が酷いです。
どのくらい酷いかというと、こんな感じでした。
つまり、単純にクオリティが低いからダウンロードされなかったということです。
途中からスイーツ系のイラスト中心に切り替えたのは、スイーツであればそれなりのクオリティの絵が描けたからです。
他に、季節もののイラストもちょっとだけ投稿していました。
お雛様とかです。
●2つ目:ベクター素材を登録していなかったこと
イラストACには、先ほども書いた通り、AIやEPSなどのベクター画像とJPEGやPNGなどのビットマップ画像を両方登録することができます。
★ベクター画像とビットマップ画像★
ビットマップ画像:小さなドットが集まって構成されている画像。画像を拡大/縮小すると、画質が荒くなる。Photoshopなどのお絵描きソフトで制作する画像は、大体これ。写真や複雑な絵の時によく使われる。
ベクター画像:座標に基づいて図形が構成されている画像。画像を拡大/縮小しても、画質が劣化しない。illustratorで制作するデータは、大体これ。シンプルな絵やデザインの時によく使われる。
イラスト素材として利用者が使いやすいのは、主にベクター画像の方(らしい)です。
しかしイラストACに素材登録していた当時の私は、medibang paintという無料のお絵描きソフトしか使っておらず、ベクター画像を用意することができませんでした。
そのため、ベクター画像(AIとEPS)は登録せず、ビットマップ画像(PNGとJPG)のみを登録していました。
結果、イラスト素材としての使い勝手が悪くなってしまったということです。
イラストACの場合は、一度登録したデータに後からベクター画像を追加しようとしても無理で、もう一度最初から登録し直す必要があります。
ベクター画像を販売したいと考えている方は、最初からきちんとベクターデータを用意しておきましょう。
●3つ目:きちんと分析して取り組まなかったこと
きちんと分析するというのは、売れ筋の素材がどんなものなのかを考え、流行に合わせて素材を作るということです。
例えば、クリスマスが近づいてきたらクリスマス関連の素材を登録し、お正月が近づいてきたらお正月の素材を登録するというように。
普通だったら、その季節で売れやすい素材を登録したり、需要に対して供給が不足しているジャンルを狙ったりして、素材を制作するものです。
ところが当時の私はそういったことをほぼやっていなかったので、売り上げを伸ばすことができませんでした。
以上の理由から、
「もっとハイクオリティなイラストを」
「ベクター化したデータとセットで」
「売れ筋を考えながら」
登録し続ければ、さらに収益を上げることが可能だと考えられます。
ただ、1つ確実に言えるのは、イラストACだとめちゃくちゃダウンロードされやすいということです。
上記のとおり、私はかなり適当に素材を登録していました。それでも1日1回以上はダウンロードされてきたわけです。
これが、無料で素材をダウンロードできるサイトの強みだと思います。
現在、私は、著作者人格権の不行使&著作権の譲渡がネックとなって、新規素材の登録をストップしていますが、”商品としてのイラストを作る練習”という意味では、利用してみても良いかもしれません。
著作権云々について
「素材として売ってるんだから、どのサイトを使おうが、実質、著作権も著作者人格権も放棄してるようなもんじゃん」という意見はあると思います。
それは、その通りです。
素材である以上、使用される際にある程度の改変は行われるでしょうし、作者名が表記されることも(ほぼ)ありません。
ですが、正式に「誰に対しても著作者人格権を主張しません」「著作権を譲渡します」と言ってしまうと、後でどんな使われ方をしても文句が言えなくなってしまうのです(もちろん、やりようによっては訴えることもできるだろうけど、難しい)。
また、登録した素材を自分で自由に使うことができなくなってしまいます。
したがって、著作権の譲渡・著作者人格権の不行使に対しては慎重になるべきだと考えています。
なお、イラストACでの私のプロフィールページはこちらです。
使えそうなものがあったら、ぜひダウンロードしてご利用ください。
【PIXTA】
概要
イラスト素材【PIXTA】は、素材を有料でダウンロードできるサイトです。
ダウンロードの形式に応じて、作者のもとに入る利益の金額が変わります。
イラストACとは異なり、素材を登録したとしても、著作権は作者に残ります。
ただし、イラストを購入した人などに対して著作者人格権を主張してはいけません。 (参考:PIXTAの利用規約)
また、独占コンテンツ販売に同意すると、有償無償を問わず、登録した作品を自分で利用したり、ほかの人にあげたりすることができなくなります。(参考:PIXTAのコンテンツ独占提供規約)
このあたりには、注意が必要です。
使い方
PIXTAも、利用するためには本人確認が必須です。
必要な書類は、下記のいずれかだったと思うんですが、もう当時のページが見つからない(本人確認が終わってしまったため)ので、情報が変わっているかもしれません。
・運転免許証 (表面。記載事項がある場合は裏面も含む)
・写真付き住民基本台帳カード(表面。記載事項がある場合は裏面も含む)
・パスポート (名前・生年月日が記載されているページ)
・個人番号カード (マイナンバーカード。表面。)
私はどれも持っていなかったので、マイナンバーカードを発行することにしました。
結果、発行までの1カ月間、利用開始を待つことになりました。
今すぐ始めたい! と考えている方は気を付けましょう。
投稿画面はこんな感じです。
こちらもイラストAC同様、直感的に操作できるんじゃないかなと思います。
作品をアップロードしたのち、タイトルやタグ、独占販売するか否かなどを設定し、審査申請を出します。
その後、審査に通った順に、販売開始となるシステムです。
投稿できるデータは、JPEG、PNG、EPSのいずれかです。
登録の方法についても詳しく規定があるので、ガイドラインを読みながら作ってみてください。
※それぞれのリンク→「写真・イラスト素材ガイドライン」 「ベクター・PNG素材ガイドライン」
実績
2021年9月に登録し、本人確認が済んだのは10月でした。
以来2カ月弱、素材登録を続け、2021年11月22日現在、285点のイラスト素材を登録済みです。
今回はillustratorが使えるため、EPSデータも登録しています。
でも、ビットマップ画像をベクター化する際に上手く画像が変換されないことがあるため、ベクター化できていないものも多いです。
illustratorを使いこなせるようになったら、最初からベクターデータで素材を制作するようにしようと思います。
その方が良さげです。
獲得クレジット数は、今のところ1.89クレジット。
回数で言うと、合計4回ダウンロードされました。
※クレジット数とは、ダウンロードによる収益をポイント換算したものです。
10クレジット以上貯まると、1クレジット=110円で換金できるとのことです。
作っている素材の種類は以下のようなものです。
・「ミステリー」という大テーマに沿った素材(探偵のカットイラストや、ミステリ関連の小物など)
・季節ごとの行事に合わせた素材(クリスマス関連のものなど)
・その他、売れ筋として紹介されている素材
一番多いのは、探偵のカットイラストですね。
実際に登録している作品が、これらです。
感覚的には、ミステリー系の素材よりも、行事に合わせた素材や、非現実の素材を増やした方が良いのかな? という気がしています。(売れてる人たちがそうやっているので)
だけど、今までにダウンロードされた作品は、いずれもミステリー系の素材なので、そっちをメインにするのも間違ってないのかな? と悩み中。
ともあれ、十分な工夫ができていない現状でも、2カ月弱で4回ダウンロードしていただけたので、希望はあるんじゃないかなと思っています。
この調子で毎日ミステリー系の素材登録を続け、同時に季節ものの素材も増やしていく予定です。
何か進展があれば、またブログでお知らせしますね。
私のプロフィールページがこちらなので、皆さんもよさげな素材があったら購入してください!
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【まとめ】
以上、イラストACとPIXTAの使い方について、簡単に説明してみました。
始めてみようかな? と考えている方がいれば、ぜひ参考にしてください。
蛇足ですが、素材集などでオススメのものについて、こちらの記事『教本紹介【資料・素材編】絵を描くための参考資料を探す方法【書籍2冊+webサイト5選+α】』で紹介しています。
よかったら参考にしてください。
それでは、また一緒に頑張っていきましょう! 甘抹らあでした!
Twitter→@amamatsu_lar