【 浜村渚の計算ノート 】武藤龍之介さんの魅力をひたすらに語る回(1さつめ~3と1/2さつめ)

皆さんこんにちは。甘抹らあです。絵を描く人です。

今回は、私の最推しの1人である武藤龍之介さんについて語ります!

レッツ推し語り!

しかし

待て待て、武藤龍之介さんって誰だよ?
何で急にそんな話するんだよ?
と疑問に思われるかと思うので、順番に説明します。

まず武藤龍之介さんというのは、小説『浜村渚の計算ノート』シリーズの語り手です。

そして『浜村渚の計算ノート』とは、数学大好き少女・浜村渚が、数学愛を活かしてテロリストに立ち向かう、エンタメ推理小説です。
武藤さんは、浜村渚と行動を共にする警察官。
これから詳しく語っていきますが、心優しい青年です。

この小説については以前こちらの記事『ミステリーのススメ~私が面白いと思う理由および、独断と偏見に基づくおすすめ本11選~』でも紹介したので、よかったら参考にしてください。

次に、なんで急に推し語りを始めるんだ? というお話。

これについては色々あるんですが、一番には「浜村渚の計算ノートがミュージカル化するから」というのが挙げられます。

最推し言えど、24時間365日ずーっと彼のことを考えているわけではないじゃないですか。
ぶっちゃけ、特に気持ちが盛り上がっている時期と、そこまででもない時期と言うのが存在しているわけです。
そして、しばらく武藤さんへの気持ちは穏やかなものだったのですが、ミュージカル化を受けて昂ってしまったんですよね。

これはもう、語るしかあるまい!!! と。

だけどTwitterで語るとうるさいだろうし、絵が埋もれちゃうし、綺麗にまとめられないし……
と悩んだ結果、ブログでまとめることにしました。

せっかくなので、1巻から順番に、1冊1冊の内容を細かく分析して、武藤さんの魅力を語って行きます!!

とはいえ、ミステリ部分や、数学的な内容に関してのネタバレはしません。
それについては本当に、小説を読んでほしいので。
私がネタバレすることで魅力が損なわれては困ります。

でも、武藤さんの魅力を語るために、本文から一部引用させていただいたり、多少の展開をバラしたりすることはあります。

そのため、できれば小説本編を読んでからこの記事を読むのがおススメです。

あくまでも「武藤さんの魅力を語る回」であって、あらすじ紹介等を丁寧に行うわけでもないです。

要は本当に、ただの推し語りです笑
分析なども、すべて超主観的なものです。

また、もしも作者様・出版社様から「この展開をバラすのはやめてほしい」「こんな記事を書かないでほしい」等の要請がありましたら、直ちに記事を削除しますので、ご了承ください。

そんな感じで、前置きが長くなりましたが、本題に入りましょう。

最新刊まで一気に語るのは厳しいので、まずは1巻から4巻までについて語ります。
続きはまた別の記事で。

【第1巻『浜村渚の計算ノート』】

記念すべきシリーズ第1巻。浜村渚ちゃんが警視庁にやってきます。
語り手は、しょっぱなから武藤さんです。

この第1巻から読み取れる武藤さんの魅力は、大きく分けて5つ。
「親近感」「面倒見の良さ」「真面目さ」「言葉遣い」「人当たりの良さ」です。

順番に見ていきましょう。

 1.親近感

浜村渚と初めて顔を合わせた武藤さんは、内心、以下のように語ります。

「数学大得意少女」という触れ込みから、僕はすっかり、縮れ毛の、丸眼鏡の、うつむき加減の、とにかくそういった優等生タイプの女の子を想像していた
(中略)
それがどうだろう?
(中略)
背は低く、顔立ちも体つきもまだ子どもっぽいが、あと何年かすれば間違いなく世の男どもを虜にするであろう、美少女のタマゴだったのだ。

――青柳碧人『浜村渚の計算ノート』(講談社文庫)p.6

身も蓋も無い言い方をすると、「思ってた以上にかわいい子が来てびっくり!」ってことですね。

とはいえ、美醜(特に子どものうちの美醜)なんて人の主観によるところが大きいでしょうから、単純に渚ちゃんは武藤さんの好みのタイプだったんだと思います。
(のちのエピソードで、渚ちゃんよりも渚ちゃんの友達のセチの方がモテるという話もある)

こんな書き方をすると「武藤さんロリコンかよ」って思われちゃうかもしれないんですけど、そういうことではないです。

初対面の段階で「めっちゃ可愛い」と思ったことは事実だと思いますが、その後、武藤さんが渚ちゃんのことをそういう目で見る描写はありません。
……解釈次第で割れそうなところはあるけど、一応は「無い」です。

それどころか、武藤さんの周りに対する視線からは、ちょっと別のものが感じられます。

これについては、『3と1/2さつめ』を語る時に詳しく話すんですけど、ともかく、武藤さんが渚ちゃんを恋愛対照的として見てるわけではないと思います。

つまり、初対面のシーンの描写から読み取れるのは、ロリコン疑惑と言うよりもむしろ、「人間臭さ」じゃないかなということです。

好みのタイプの子が現れた時に、思わず「かわいいな」と見とれてしまう。
それって、めちゃくちゃ人間臭いですよね。

警察官なのに、それがまだ板についてないというか。
捜査協力に来た子のことを、仕事相手と言うよりもまず、普通に一人の人間として見てしまっているというか。

また、武藤さんには、瀬島直樹さんという同僚がいるのですが、彼は「エリート帰国組」です。
非常にプライドが高く、武藤さんはその高慢さを快く思っていません。
この渚ちゃんとの初対面のシーンでは、瀬島さんの行動を「エリートのやることは、いちいち鼻につく」(同上p.9)と評している部分もあります。
こんな風にムカッってきちゃってるところも、すごく人間臭いですよね。

あと、ここからもう一つ読み取れるのは、武藤さんがエリート組ではないということです。
なおかつ、「エリートのやることは~」なんて言い方をしているところから察するに、瀬島さん個人にというか、エリートそのものに対して良い印象を抱いていなさそうだなと思わされます。
単純に庶民的な感覚を持っているということなのか、他に何か理由があるのか。
1さつめを読んだ段階では、それがすごく気になっていました。

ともあれ、まずはこういう人間臭いところが好きなポイントです。
ここでは割愛しますが、他にも人間臭さが感じられる描写は多いです。

臭いっていう語感が微妙なので、“親近感を抱かせるような性格”とでも言っておきましょう。

 2.真面目さ

ここまで書いてきた通り、武藤さんは読者に親近感を抱かせるような性格の人です。

でも一方では、非常に真面目な人でもあります。
例えば、警察官として職務を全うしなければという思いが、描写の端々から感じられます。

まだ若手で慣れていない感じだけど、精一杯頑張っているんです。
それが、すごく良いなって思います。

語り手ゆえに心理描写が多いせいで、真面目さが強く伝わってきました。
この真面目さに関しては、もっと後の巻(5さつめとか)でまた言及出来たらなと思います。

 3.面倒見の良さ

それから、少し話を読み進めると、渚ちゃんの宿題を手伝うシーンが出てきます。

ここの武藤さんは、すごく大人っぽいです。
より具体的に言うと、面倒見が良い一面を見せてくれています。

まず宿題を手伝っている時点で面倒見良いなって感じなんですが、他にも、教育内容の変化が子どもにもたらす影響を懸念したり、渚ちゃんがテロリストに狙われないかこっそり心配したり。
とても優しいです。

また、本文pp.232では、渚ちゃんが海賊から怒られてしまった時に「あの、あまり怒らないでもらえますか?」と割り込んでいます。
優しすぎます。
しかも、その後のシーンで、渚ちゃんに代わって拳銃でリンゴを撃ち抜く場面があるんですけど、それがめちゃくちゃかっこいいんですよ。

そしてさらに素敵なのが、それを恩に着せないところですね。
渚ちゃんに対して「助けてあげた」的な態度を微塵も見せないんです。
(射撃に関しては「見事な当たり所だった」と自負しているようですが。)
これが瀬島さんだったら、恩着せがましい発言の一つや二つ投げていそうです笑
武藤さんの態度の方が当たり前ではあるんですが、そんな当たり前の優しさを見せてくれるところがかっこいいなあと思います。

言葉で説明するのも野暮なので、ぜひ読んでください。
なんで海賊が出てくるの? なんでリンゴを撃ち抜くの? って思った方も、ぜひ読んでください笑

 4.言葉遣い

その他に、1巻から読み取れる武藤さんの魅力は「言葉遣い」です。

話し言葉がいちいち柔らかいんですよね。

「どうした?」じゃなくて「どうしたの?」
「~だ」じゃなくて「~だよ」
みたいな。

瀬島さん、大山さんの2人(同期)に対してはもうちょっと雑になるときもあるけど、大体柔らかいです。
特に、瀬島さんは荒々しい言葉を使うし、大山さんは自由奔放な感じだから、武藤さんの柔和さが際立って見えます。

そんなところが好きです。

 5.人当たりの良さ

もう一つの魅力は、人当たりの良さです。
(ここまで説明してきた魅力は、全部まとめて「優しさ」って言っちゃってもいいんですけど、それだと範囲が広すぎるので分解しています。)

たとえば、pp.78-79では、プライドが高い瀬島さんに代わって、渚ちゃんに捜査協力を頼んでいます。
(ちなみにここまで、瀬島さんに関して良い話をしていないですが、彼は彼で魅力的な人物です。嫌いにならないであげてください。)

そして同時に、この人当たりの良さは、いわゆる社交的なタイプの人当たりの良さではありません。もうちょっと消極的な感じです。
p.243には、「どちらかというと人見知りをする僕と浜村」とあります。
どちらかというと人見知りする……これ、陽キャじゃない私からすると、めっちゃ良いなって感じです。好き。

【第2巻『浜村渚の計算ノート 2さつめ ふしぎの国の期末テスト』】

第1巻の時点で、基本的な魅力はお話しできたので、今度はそれに基づいて、第2巻の中の好きな場面を書き出していこうと思います。

また、1点だけ、新しい魅力を追加します。
武藤さんの6つ目の魅力。それは「数学の理解の速さ」です。

ではまず、最初から順番に物語を読んでいきましょう。

 1.log10.『その処刑台、カラフル』

例の如く、テロリスト黒い三角定規の犯行声明を受けて、武藤さんたちが右往左往する話です。
鍵になるのはルービックキューブ。様々な分野の数学が登場するので、面白いです。

それで、ですね。

p.26に、瀬島さんが渚ちゃんを呼ぼうと提案する場面があります。今までと同じように捜査に協力させたいってことです。
ところが、その日は平日。渚ちゃんを呼ぶには学校を休ませなくてはいけません。
瀬島さんと大山さんはそんなこと気にしておらず、渚ちゃんを呼び出すことに乗り気なようですが、武藤さんはちょっとためらっています。
こんな風に、相手の都合を慮っているのが、とても優しいところです。

そして、それなのに強く反対しないであっさり渚ちゃんを呼び出しているところも、非常に武藤さんらしいというか。
めちゃくちゃ優しいけど、めちゃくちゃ「普通」なんですよね。

その後も、犯人から送られてきたルービックキューブを揃える時、もし危険物が入っていたら危ないからと、率先してルービックキューブを揃える役を担います。
(だからなんでそんな状況になるんやねんって思った方はぜひ原作を読んでください)

危険な役回りを自ら引き受けるのって、すごくないですか?
ここにまた、真面目さや優しさが出てるなと思います。
流れ上仕方がなかった面もあるとはいえ、かっこいいな~って感じです。ほんと。
……もっとも、メタ的に読むなら、別に武藤さんのかっこよさを表現したくて描かれた場面ではないと思うのですが、それでもかっこいいものはかっこいいのです。

 2.log100.『麗しのルイ嬢』

次に、武藤さんは事件の捜査で楡小路ルイという女性に会いに行きます。

楡小路ルイ――通称ルイ嬢は、大企業楡小路コーポレーションの会長です。
資産家で、非常に優秀な経営者。

話し始めてすぐの頃、武藤さんは、ルイ嬢のセレブ感に圧倒されています。

例えば、以下の通り。

 優雅なクラシック音楽が流れ出し、広い空間を満たしていく。
「紅茶でよろしいかしら?」
「え? ……ああ、はい」
 慣れていない雰囲気に、遠慮の言葉を忘れてしまう。

 (中略)

「ヨハン・シュトラウスはお好みではなかったかしら?」
 しばらく黙っていると、彼女は心配げに聞いてきた。
「え?」
「この曲です」
 そんなことは気になっていない。ただ、やっぱりこの企業は空振りだと思っていただけだ。

――青柳碧人『浜村渚の計算ノート 2さつめ ふしぎの国の期末テスト』(講談社文庫)pp.90-91

武藤さんの庶民的なところが伺えて、非常に嬉しいです。

もちろんいつまでも圧倒されているわけではなく、ちゃんと捜査もしてくれます。

そしてここで、先ほど言った6つ目の魅力「数学の理解の速さ」が登場します。

武藤さんがルイ嬢に対して、0という数字の性質を説明するシーンがあるのです。

この説明は、以前渚ちゃんが武藤さんに教えてくれたものでした。
つまり、教えてもらったことをきちんと理解して、それをまた別の人に教えられるくらいになっているということです。
これって、「数学オンチ」を自称しているにしてはすごくないですか?

数学とかって、人に説明するのが一番難しいと思うんですよ。
それなのにそれができるようになっているなんて。(元々の渚ちゃんの教え方もすごすぎる。)

なんていうかこの、理解の速さがかっこいいです。

もっと正確に言うと、渚ちゃんが説明してくれたことを、適当に聞き流すのではなくて、きちんと自分のものにしているところが魅力的だなと思いました。
(正直言うと、理解の速さだけなら瀬島さんの方が速いっぽいのです)

そしてさらに好きなのが、この章の最後。

ルイ嬢から難しい数学の問題を出された武藤さんは、答えが分からず、「わかりません」と正直に答えます。
この時の心情描写が、「数学は、カンで答えてはいけない」(同上、143p)なんです。

めっちゃくちゃ良くないですか?
何が良いって、数学の大切な部分を大切にしてくれているところです。
数学を丁寧に扱おうという思いが無ければ、こんな言葉は出ないはずですよね。

数学狂いのテロリストと戦いながらも、数学を唾棄するのではなく尊重する姿勢。
それが最高に素晴らしいです。

そしてこれに関しては、武藤さんだけの功績ではなく、渚ちゃんの影響が大きいです。
渚ちゃんの純粋な数学愛に魅せられて、武藤さんもそう思うようになったという感じです。
武藤さんだけでなく、瀬島さんや大山さんも(たぶん)。
この関係性がとても尊く思えます。

 3.log1000.『割り切れなかった男』

聞いてください! この話、武藤さんの大学時代のお友達(宮下さん)が出てくるんですよ!!
この段階では武藤さんの過去が明かされていなかったので、この友達がどんな人間なのか、興味津々で読んでいました。
あと、渚ちゃんの友達のセチ(長谷川千夏)も出てきます。
お友達回ですね!

宮下さんと武藤さんが一緒にいる場面は、本文pp.184-194あたりです。
宮下さんは非常に優しい方で、その優しさゆえに検察官になったといいます。
台詞を見ている限りだと、本当に根っからの善人なんだなという感じがしました。
武藤さんとはまた違うタイプの、優しい人です。

そして2人は、同じカレー屋さんを思い出の場所として思い浮かべるくらい、仲が良かったようです。
どんな大学生活を送っていたのかな? と妄想してしまいます。

この章で私が一番好きなのは、ラストです。

武藤さんが、セチに向かって言うんですよ。

「長谷川さん(※セチのこと)はこれからも、浜村さんと仲良くね」って。

ネタバレになっちゃうから詳しくは書けないのですが、この言葉が武藤さんの口から出たのは、事件の真相を受けてのことです。

なんかすごく、渚ちゃんのことを大事に思ってくれているみたいで良いなあって思いました。
渚ちゃんの保護者って感じ。

最初に言った通り、この章のサブテーマ(?)が「友達」だと思うんですよね、私は。
もちろんメインは別のテーマだと思うんですが。

なので、武藤さんのお友達と渚ちゃんの友達が同時に登場したのは、偶然ではないんじゃないかなという気がします。
青柳先生が意図的に、2人それぞれの友人関係を見せてくれたんじゃないだろうかと。

だけど結末の部分では、渚ちゃんの方だけがフォーカスされているわけです。

これはきっと武藤さんが大人だから(&主人公が渚ちゃんだから)なんでしょうけど、少し切なさを感じます。
私が好きなタイプの切なさです。

武藤さんの面倒見の良さが伝わってくるのが嬉しくて、だけど一方では、彼がすでに大人で、自分自身の友人関係よりも渚ちゃんの友人関係の方を気にしていることに、グッと来ると言うか……

いやだって、武藤さんもまだ若いじゃないですか。
もうちょっと自分のこと考えててもいいと思うんですよ。
宮下さんとか他の友達とか洋一郎兄ちゃん(フライング)とか、いるでしょ……!

でも、全然そっちには思考が行かないんですよね。
大人なんだなーって思って、そのことに不思議な切なさを覚えます。

結局武藤さんは主人公じゃなくて語り手なんですね、どこまでも。

 4.log10000.『不思議の国のなぎさ』

これ! この話! 面白いですよ!

いや、もちろんどの話も面白いんですけど、この短編は特に毛色が違うので、そういう意味で面白いです。

何を書いてもネタバレになるというか、どう紹介したらいいのかが分からない短編でもあります。
雰囲気としては、ファンタジックな感じです。n進法の話が出てきます。

私のこの回に対する印象は、「面白い!」に加えて「武藤さん大活躍!」です。

武藤さんが、ほぼ自力で頑張るんですよ。
敵に出された問題を解いていて、ここからも数学の理解力の高さが伺えます。

あと面白いのが、本文のpp.281-282。

意識を失っていた武藤さんが目を覚ますのですが、そこの描写がこうです。

「……武藤、武藤……」
 僕の名を呼ぶ高慢な声がして、快感から不快感への坂を一気に下るような感覚に襲われる。
 目を開けると、ベッドの上だった。窓から陽の光が差し込んでいる。
(中略)
「武藤、目を覚ましたか……」
 枕元にいたのは、瀬島直樹だった。……やっぱり、お前かよ。

――青柳碧人『 浜村渚の計算ノート 2さつめ ふしぎの国の期末テスト』pp.281-282

瀬島さんの扱いが酷くないですか?笑
“不快感”とか言われてるんですよ??

これ、わりとマジで瀬島さんのことが嫌いなんだなと思って、笑っちゃいました。
ここに関しては、それが言いたかっただけです。
武藤さんすごく優しい人なのに、瀬島さんに対しては容赦ないなっていう。それがちょっと面白いなというお話でした。

あと、エピローグの『ケーニヒスベルクの夢』も、すごく好きです。
武藤さんの発言と、それを聞いて喜ぶ渚ちゃんがめっちゃ良いなと思って。

本当に面白い!

【第3巻『浜村渚の計算ノート 3さつめ 水色コンパスと恋する幾何学』】

ようやく第3巻にやってきました!

今度もまた、1章ずつ好きな場面を見ていこうと思います!

 1.log10.『クレタ島・嘘つき迷宮』

これも私が大好きな回です。数学で一番大切な「論理」に関するお話ですね。

パラドクスの話とかはあまりネタバレできない(紹介するとそれがもうネタバレになってしまう)ので、割愛。

武藤さんの真面目さと、理解の速さが感じられる部分があってかっこよかったです。

特に、pp.70-72にかけての、武藤さんとテロリストが対話するシーンが好きです。
テロリスト相手でも高圧的にならない武藤さんの姿勢がとても良かった……。
テロリストの方も、今回ばかりは憎めないです。

 2.log100.『アイシテルの正弦』

今度は恋愛要素が強めのお話です!

とはいえ、武藤さんの恋愛ではありません。
事件関係者たちの恋愛です。

瀬島さん&大山さんに仕事を押し付けられ、武藤さんは単身、とある社長の失踪事件を捜査しに行きます。

その社長の部下たちが、そろいもそろって恋愛体質、みたいな感じでした。

ガールズトークに巻き込まれながら事情聴取をする武藤さん、めちゃくちゃ大変そうで面白かったです。
特にpp.121-127で疲れ切っている描写を見ると、本当に大変だったんだな……と気の毒になります。

瀬島さんや大山さんみたいな性格なら、ガールズトークになんて流されないでさっさと捜査を進められたのかも(?)と思いますが、そうはいかないのが武藤さんなんだなという感じで、そういうところも好きです。

ていうか今更ながら、一巻ずつ魅力を分析していくのって難しいですね。
巻が進むにつれて同じ指摘の繰り返しになってしまいます。
この部分には触れるべきか、飛ばすべきか……悩ましい箇所が多々。
そんなわけなので、多少くどくなっちゃってても許してください!

 3.log1000.『「プラトン立体城」殺人事件』

続いては、物語の中の事件を扱った短編。

武藤さんと渚ちゃんが新幹線に乗っているのですが、そこで乗り合わせた女性が持っていた小説に、不思議な謎が出てきます。

新幹線を降りるまでに、頑張ってその謎を解くというお話です。

ちなみにこの新幹線の中では、武藤さんと渚ちゃんが兄妹の振りをするんですよ。
それがとても微笑ましいです。素敵~~!

武藤さんが渚ちゃんに恋愛感情を抱いていることは無いって最初に言ったんですけど、それはそれとして二次創作的な意味でのむとなぎ妄想は大好きなので、ニヤニヤしちゃいました。
(何のことか分からない方は、気にしないでください。すみません)

しかも、小説の謎を解くのは渚ちゃんだけど、小説を読むのは武藤さんなんです。
渚ちゃんも後から自分で読むんだけど、最初は、小説読むの苦手だからって武藤さんに任せていたという。

こういう連係プレーっていいですよね。
またしても武藤さんの面倒見の良さが感じられるなと思いました。好きだー!!

特にp.228の最初の部分なんて最高です。
武藤さんのお兄ちゃん感が、何回読んでも良いなあって思っちゃいます。

こんな感じで、比較的ほのぼのしてるのがこの短編でした。

が、最後は不穏さを残して終わります。“次回に続く”と言った感じ。

 4.log10000.『武田斐三郎の街で』

そしてその“次回”がこちら。

でも前回の伏線は回収されずに、違う話が始まります。
伏線回収はエピローグまでお預けです。

新幹線で函館に到着した武藤さんと渚ちゃんは、例の如く、テロリスト・黒い三角定規が起こす事件に立ち向かいます。
今回は、北海道警と協力しながらの捜査です。

ただ途中までは、渚ちゃん抜きで話が進んでしまうんですよね。

忙しくて渚ちゃんの面倒を見られなくなった武藤さんと、すねてしまった渚ちゃんのやり取りが可愛いです。
可愛いとか言ったら渚ちゃんに怒られそうだけど。

最終的には、いつも通り渚ちゃんが活躍して解決します。

オチがいつにも増して派手なのが印象的です。

 5.エピローグ『マダム・エミーの部屋』

エピローグでは第3話の伏線回収が行われます。
ネタバレになってしまうので具体的に何とは言いませんが、気になる方は(以下略)

このエピローグの好きなところは、一番最後の部分ですね。

以下のようになっています。

「武藤、どういうことだ?」
 瀬島が詰め寄る。
「武藤、どういうこと?」
 大山が頭をかきながら訪ねる。
「武藤さん、どういうことでしょうか?」
 当の浜村渚も僕の顔を不安げに見上げている。
 数学テロ組織・黒い三角定規は、確実に浜村渚に近づいている。

――青柳碧人『浜村渚の計算ノート 3さつめ 水色コンパスと恋する幾何学』(講談社文庫)p.323

みんなに頼られてる感がすごく良くないですか。

なんだかんだで信頼されているんだなと思って、嬉しくなりました。

【第4巻『浜村渚の計算ノート 3と1/2さつめ ふえるま島の最終定理』】

第4巻は、「4さつめ」ではなく「3と1/2さつめ」です。というのも、ちょっと本筋から外れた話だからだそうです。(詳しくは青柳先生のあとがきをご参照ください。)

しかも、シリーズ初の長編です。
なので正確に言うと、第4巻というよりかは番外編と言うべきかもしれません。
今までに刊行された中には、もう1個「~と1/2さつめ」が存在していて、それも長編です。

そして、どちらも非常に面白いです。
個人的には、短編よりも長編の方が好きかもしれないくらい。
短編は短編で面白いんですが、長編は読みごたえがあるのが嬉しいです。
細かいところまで丁寧に描写してくれているところとか、短編よりも伏線が複雑なところとか、キャラとより長く同じ時間を過ごせるところとか、最高!

そんな3と1/2さつめについて、今まで同様、詳しく見ていきたいと思います!

簡単にあらすじを紹介すると、
数学好きの人間ばかりが集まるホテル「ホテル・ド・フェルマー」にやってきた武藤さんと渚ちゃん、大山さんの3人が、一か月前にそのホテルで起きた事件を解決しようとするお話です。
また、そのホテルには前オーナーの遺産の在り処が隠されているらしく、その謎にも挑みます。
最後の章、最後の1ページまで余すことなく楽しめる、とても面白い作品です。

まず好きな場面が、p.44。武藤さんと渚ちゃん、大山さんの3人が数学の話をしているシーンです。

渚ちゃんがフェルマーの最終定理について説明してくれるんですけど、それを聞いた武藤さんの感想が、これです。

 最終定理。
 なんとも重厚で荘厳な響きを持って聞こえる。きっとフェルマーが遺したこの謎にしか使われなかった言葉なのだろう。数学史上最も明晰な頭脳と、数学史上最もイジワルな性格を併せ持っていたこの男に、誰しもが畏怖を抱いていたことが、僕みたいな数学オンチにもひしひしと伝わってきた。

――青柳碧人『浜村渚の計算ノート 3と1/2さつめ ふえるま島の最終定理』 (講談社文庫)p.44

数学オンチっていう割りに、すごく理解がありますよね。数学を愛する人々に対して。

あと、意外とロマンチストです。
こういうところが好き。

ちなみにこの直後、大山さんの方は「気に入らないな、コイツ!」とフェルマーを罵っているのですが、それもまた彼女の性格が出ていて面白いです。

読み進めていくと、こういう楽しい場面がたくさんあります。

また、実は今回の捜査、正式に行われているものではありません。
寺森と言う刑事に騙されて、流れで捜査をさせられることになってしまったみたいな感じです。
これだけ聞いてもわけわかんないと思うけど、そんな感じなんです。

なので当初、武藤さんは捜査に乗り気ではありませんでした。

そんな乗り気ではない武藤さんが、数学好きに囲まれて延々と数学の話を聞かされたり、寺森さんから滔々と事件の話を聞かされたりしたら、当然ウンザリしますよね。

最初の方にウンザリして逃げ回ってる場面があって、面白かったです。
可哀そうだなと思いつつ、また親近感を覚えつつ、読んでいました。

その逃げ回っている場面で、武藤さんが辿り着いたのがホテルのバーでした。
そこでバーテンダーのソフィさんという方と、おしゃべりをする場面があります。109ページ以降です。

カクテルを飲みながら会話してるところ、「武藤さんがお酒飲んでる……ちょっと酔っぱらってる……!」という謎の感動がありました。

武藤さんは、酔っても性格が急変するタイプではないみたいです。
かといって、お酒に強いわけでもなさそう。
自分の過去についてチラッとだけ話をしていました。
(このシーンを読んだ当時の私は、早く武藤さんの過去の詳しい話が知りたくて、ウズウズしていました。)

そして場面変わって、翌朝の描写。(バーで飲むシーンは夜の話でした)

pp.123-131にかけて、いつもの如く渚ちゃんと数学談義が行われます。ここもすごく面白いです。

数学をやっていたせいで寝不足だった渚ちゃんが、数学の話をするうちにどんどん元気になっていって、その様子を見た武藤さんが数学教育について考えるっていう。

このシリーズがどこに着地するのか気になるなと、改めて思わされました。

あと、ここに出てくる数学の話も面白かったです。
メビウスの輪とクラインの壺のお話。

pp.136-148で論議されている「フェルマーの最終定理には何の意味があるのか」のお話も、とっても好きです。
「こんなことして何の意味があるんだよ!」って、色んな勉強に対して思ったことがある人は多いと思うのですが、数学好きたちがそれぞれの見解を述べているんです。

どの人の意見もなるほどなと思わされます。
また、単に納得させられるだけではなく、不思議と元気をもらえるような内容でした。

それから、本筋とも数学とも関係ないですが、p.153のやり取りも良いな~って思います。
渚ちゃんがソフィさんから海で泳がないかと誘われた場面です。

 すると浜村渚はぱっと顔を上げた。
「あ、そういえば、水着、持ってきました」
 黒い三角定規事件に引っ張られて岡山まで来たのに、浜村渚はチャンスがあったら海で遊べるかもしれないと水着を持ってきていたのだ。まったくのんきなことに。
 でも、船が来ない以上この島に足止めなのは仕方ないので、僕も付き合って遊ぼうかと思っていたら、部屋に入ろうとする僕を大山あずさが呼び止めた。
「渚、恥ずかしいんだって」
 彼女はニヤニヤしていた。
「え?」
「武藤が見てると、水着になるの、恥ずかしいんだって。だから、あたしたちが遊んでいる間、ビーチに来ないでくれる? っていうか、窓から外も見ないでくれる?」
 ……まったく勝手な言い分ばっかりだ。

――青柳碧人『浜村渚の計算ノート 3と1/2さつめ ふえるま島の最終定理』 (講談社文庫)p.153

うわ~~~!!!
か、かわいい……!

もしかして渚ちゃん、武藤さんのこと好きなのかな? って疑いたくなりました。

実を言うと3さつめの第2話「アイシテルの正弦」で渚ちゃんに好きな人がいることが発覚しているのですが、それは多分、武藤さんじゃないんですよ。
渚ちゃんが話していた内容から察するに、別人なのはほぼ確実です。

だから渚ちゃんの武藤さんへの恋愛感情は存在しないとずっと思っていたのですが、今回のこの場面を見ると、「おや?」って思ってしまいます。
もしかして、好きな人武藤さんに変わった? みたいな。

もちろん、単に年頃だから気にしているだけという可能性はあります。
この描写だけだったら、私もそんなに疑いはしませんでした。

ただ、この巻以降、特に5さつめのおまけのあたりには、うーむどうなんだろうという描写があるんですよね。

武藤さんファンとしては、非常に気になります。
渚ちゃんをつっついて「ねえねえ、武藤さんのことどう思ってるの?」って聞いてみたい。

懐いている(信頼してる)のは確かなんです。p.306では武藤さんの袖を掴んでいるし。

しかも、最後のところ、p.354。大山さんとのやり取りがこんな感じです。

「ねえねえ渚、その好きな人って、クラスの人?」
「……とは、限りません」
 僕の目の前では、岩沢理論をいじる浜村渚に、横から大山あずさがまたちょっかいを出している。
「名前は?」
「言いません」
「イニシャルだけ、教えてよ」
「ヤですよぉ」

――青柳碧人『浜村渚の計算ノート 3と1/2さつめ ふえるま島の最終定理』 (講談社文庫)p.354

うーん、気になる!
わざわざクラスの人とは限らないって言わせてるあたりとか、イニシャルすら言いたがらないところとか、ものすごく気になる!
これも全部、普通に学校の子が好きで恥ずかしがってるだけですけど? って言われたらそれでお終いなんですけどね。
とはいえ、気になります。

一方、武藤さんの方は全然恋愛感情が無さそうです。
渚ちゃんに対して「まだまだ子供だな、まったく」みたいな感情を抱いている箇所が多々あります。
とことん保護者目線です。

話変わって、次に印象的だったシーンは、pp.189-190。

寺森さんが渚ちゃんのヘアピンを借りて、とある実験を行うのですが、その後の武藤さんの態度が「きゃー!」って感じなんですよ。
……すみません、魅力を書き連ねすぎて、語彙が枯渇しました。

寺森さんって言うのが、まあ武藤さんたちを騙して捜査させようとした時点でヤバイ人なのは分かってもらえると思うんですが、かなりマイペースなんですよ。

そんな寺森さんの身勝手さに対して、武藤さんが怒ります。
武藤さんが怒るのは珍しいので、感動しました。

でも怒るって言っても、そこまで荒々しい感じではないです。
また、自分のために怒ったわけではなく、渚ちゃんのために怒った感じでもあります。

なんかほんとに、渚ちゃんの保護者感あふれてて最高です。

しかも、保護者感は溢れているのですが、それだけじゃありません。
寝ている渚ちゃんを見て「戦士の休息」と感じたり、数学を愛する人たちのことを尊敬していると述べたり(p.274)、彼女の数学愛を心から尊重しています。

それがもう、本当に素敵。

だって尊敬してるって言ったんですよ、尊敬。

年齢的には武藤さんの方が上だし、当然保護者としてふるまうんだけど、でも、こと数学に関しては彼女のことを尊敬しているわけです。多分、彼女の生き方そのものも。

すごくすごく、良い人だなって思いました。
月並みな言葉でしかまとめられない……。

ちなみにこれが、一巻の時に述べた、武藤さんの渚ちゃんに対する感情に関するお話です。
でももうちょっと追記したいこともあるので、後で続きを書きます。

ていうか本当にこのシリーズ、アニメ化しませんか?
絵的に映えると思うんですよね。
大掛かりなトリックも多いし、渚ちゃん可愛いし、ビジュアル的に面白いキャラが多いし、桐野先生のイラストはすごく魅力的だし、そもそもすでに漫画化してるし。
アニメ化、頼む……!!!

閑話休題。

この後、武藤さんのとってもかっこいいシーンがやってきます。かっこいいけど、気の毒なシーンが。
なんと転落死事件の真相に、自力で辿り着くんです。
いつもなら渚ちゃんが活躍して解決するのに、今回は武藤さんが謎を解きます。
(だけどもう一個の遺産の謎に関しては渚ちゃん頼りです)
その過程で気の毒な目にも遭ってしまうのですが、最終的には大活躍。
素晴らしいです。かっこいい。

あとですね、大したことない描写だとは思うのですが、個人的にすごく気にかかっている場面があります。
それがp.270の冒頭です。

さっき続きを書くって言った、武藤さんの渚ちゃんへの感情に関する話でもあります。
渚ちゃんへのというよりかは、他の人全般に対しての、と言ってもいいかもしれません。

引用すると、ここ。先ほども登場した、ソフィさんと武藤さんの会話です。

「ムッシュには、大事な人がいますか?」
 その美しい顔から、突然僕に質問が投げかけられた。
「なんですか?」
「大事な人です」
 僕は首を振った。

――青柳碧人『浜村渚の計算ノート 3と1/2さつめ ふえるま島の最終定理』 (講談社文庫)p.270

このあとソフィさんの身の上話が始まるんですが、それ以上に気になってしまったのが「僕は首を振った」の一文です。

これ、縦に振ったんですか? 横に振ったんですか?

「大事な人」って、ここでは問答無用で「恋人」って意味なんですか?
それとも、もっと範囲が広い、純粋に「大事な人」って意味なんですか?

と、気になっています。

なんか最初に読んだ時、私の感覚だと、「首を振る=首を横に振る」「大事な人=恋人に限らず大切な人」だったんですよ。
だから、「武藤さん、大切な人いないの?」って、ちょっと衝撃的でした。
家族と何かあったのかなとか
同僚や、大学時代の友人(さっき出てきた宮下さんとか)、渚ちゃんのことも、「大切な人」枠には入れてないのかなとか
こう、色々考えて、ウッ……ってなってました。
これがまた私の好きなタイプの切なさなんですよ。

確かに大人になるにつれて大事な人って出来なくなっていくし、同僚は同僚に過ぎないだとかいうのは当たり前のことなんですよね。

でも物語の登場人物に対しては、その当たり前以上に親密であることを期待してしまうところがあると思うんですよ。
ていうかあるんですよ、私は。
同僚だけどすごく仲良し! とか、数回会ったらお友達! みたいな感じで。

だけど全然そんなことないんだなーって思ったら、なんか切なくて泣けてきました。
そうかそうか、君はそういうやつだったのか。好きだわ。

とはいえ、これは私の見方が幼かったせいかもしれません。

今読むと、「首を振る=首を横に振る」は変わらないにしても、「大事な人=恋人」である可能性に気付きます。
文脈的に考えると、その解釈も自然です。
だとしたら、首を横に振るのも普通ですよね。
単純に恋人いませんって言ってるだけだから。

そうなった場合、先程の切なさももれなく消えていくわけなんですが、このシリーズがエンタメ系の児童書(一応児童書ということになっていた気がします)であることを考えると、むしろこの解釈の方が自然なのかなと思います。

さっきの解釈はちょっとエモーショナルすぎるというか、私のオタクとしての特技・深読みが発動してる感があります。

でもでももし本当にそうだったらどうしよう? いやどうもしないけど、どうしよう??
めちゃくちゃ気になるところです。

ちなみにこの場面のソフィさんとのやり取りの中で、先ほど紹介した武藤さんの発言(数学を愛する人たちを尊敬しているというもの)が登場します。

なんか、この後は本当に妄言として聞き流してほしいんですけど、もしも武藤さんが、あまり周囲に思い入れを抱かないタイプなんだとしたら、その中でも渚ちゃんのことを「尊敬している」っていうの、すごく特別感がないですか?

もちろん、「数学を愛する人たち」って言ってるから、渚ちゃんに限らずたくさんの人たちが対象になっているわけなんだけれども、念頭にあるのは間違いなく渚ちゃんなはず。

恋愛対象でも「大事な人」でもないけど、尊敬はしているという……
そして保護者的な目線から見守り、時には呆れながらも側にいるという……
すごく……好きです。

いやでも流石に、妄想が過ぎますね。ごめんなさい。

さて話を戻して、この場面が来たらあとはもう結末までまっしぐらって感じです。
ですが本書、最初にも言った通り、最後の1ページまで楽しめます。すごく面白いです。

最後までたっぷり楽しんでください!

【まとめ】

以上、1巻から4巻までの武藤さんに関する分析でした。

記事の性質上、武藤さんだけにフォーカスしてきたのですが、実際にはもっとたくさんの魅力がある作品です。

まず、数学の話が面白くて勉強になります。数学面白いじゃん! って感じです。

また、武藤さん以外のキャラも魅力的です。
渚ちゃんはかわいいし、大山さんの自由奔放な感じも素敵だし、瀬島さんは瀬島さんでかっこいいです。
今回は紹介できなかったんですが、尾財さんや錦部さんも準レギュラーで面白い人たちです。

それにもちろん、ミステリ部分が秀逸です。伏線回収された時の爽快感は何にも代えがたいし、ミステリと数学がうまく融合していて、毎回「なるほど! 面白い!」ってなります。

そしてやっぱり桐野壱先生の絵が最高です。表紙や挿絵を眺めてニヨニヨしています。
かっこいい&かわいい!
本当に魅力的なんです。キャラデザ、構図、色、雰囲気、レイアウト、全部好き。

さて、そろそろ本当に語彙が尽きてきたので、この辺りでお話を終わりにしましょう。

今度、第5巻以降の分析もやります。
もういいよと言われてもやります。
なぜなら武藤さんのことがもっと詳しくわかるのは、5巻以降だからです。
しかしその前に、また全然関係ない記事(お絵描きの話とか、お仕事の話とか)も出すと思うので、少し間が空いてしまうかもしれません。

ともあれ、また別のどこかでお会いしましょう。

浜村渚の計算ノート、ぜひ読んでくださいね!

甘抹らあでした!

追記:第2回、第3回の記事も描きました!