教本紹介【デザイン編】構図や配色を考えるのに役立つ4冊【よりよい魅せ方を模索するために】

こんにちは、甘抹らあです。絵を描く人です。
前回の教本紹介~人体デッサン編~に続き、今回はデザインに関する参考文献を4冊紹介してみました。

ぜひ本を選ぶ際の参考にしてください!

※記事内のURLは商品の参考として載せているものです。リンク先からご購入される場合には、必ず各自の判断でお願いいたします。

『イラスト映えBOOK』

1冊目が、田村桂一・山口真理子『イラスト映えBOOK』(SHOEISHA)です。

とても話題になっていたので、ご存じの方も多いのではないでしょうか。

イラストの魅せ方に特化して解説した1冊です。

コンポジション・カタチ・テクスチャ・カラー・モチーフ・演出と、テーマごとに魅せ方のコツが解説されています。

コツを意識して描いた絵とそうでない絵が比較されている形式です。そのため、効果のほどが分かりやすくなっています。劇的before-afterみたいな感じですね。
ものによっては、beforeの方が良いように感じられる場合があるかもしれませんが、用途や目的に応じてデザインの最適解は変わるということなので、自分の目的を意識しながら読み進めると良いと思います。

文字の分量は多すぎず少なすぎず。
作例の絵柄も見ていて癒される雰囲気なので、楽しみながらデザインの基礎を習得できます。

解説に使われているのは、簡易的にデフォルメされた可愛らしいイラストですが、どんな絵柄の人でも応用できる内容だと思います。
実際、私は全然違う絵柄で描くことが多いですが、よくこの本を参照しています。
例えば自分で絵を描いていて「何か物足りないな」と感じた時に、どうすればよくなるかを考えるのに便利です。

絵の魅せ方について悩んでいるという方に、とってもオススメ。
構図や色遣い、演出の仕方について学ぶことができます。
自分の絵には何かが足りない気がするんだけど、それが何なのか分からない……なんて時、ぜひ手に取ってみてください。

『配色デザイン事典』

2冊目が、mashroom design著『配色デザイン事典』(ナツメ社)です。

こちらの本では、イメージごとに配色の例が紹介されています。

それぞれの配色に関して、メインカラー/バランスカラー/バリエーションカラー/アクセントカラーと色が分類されて示されているので、とても分かりやすいです。
CMYK、RGB、WEBカラーコードの値も掲載されています。
これを見れば、簡単に配色例と同じ色を作ることができますね。

また、ただ分かりやすいだけではありません。

配色にはイメージごとに名前がついているのですが、その名前がとっても魅力的です!
例えば、72ページ。少しくすんだ寒色系の配色が紹介されているのですが、その配色名は「すずらんのしおり」。
また、134ページを見ると、「山岳鉄道の車窓から」とあります。
150ページには「水たまりの中の街」、192ページには、「琥珀の標本」……なんだか、この名前を見ているだけでワクワクしてきませんか?

そして、実際にその配色で描いたロゴやデザインサンプルも紹介されているため、イメージを掴みやすいと思います。

さらに、最初の数ページは配色のコツについての解説です。イメージを考えるところから具体的な配色を決めるところまで、ごく簡単にですが紹介されています。
これがあることによって、配色の例をそのままマネするだけではなく、自分なりにアレンジした配色を考える手助けにもなるでしょう。

いつも同じような配色になってしまってマンネリ気味……という方や、自分の配色センスに自信が無い方にオススメの1冊です。
私はその両方に当てはまっていたので、この本がとても役に立っています。
また、見ているだけでも楽しいので、こういうものを見るのが好きな方は観賞用に持っていても良いかもしれません。

色彩検定協会[編]『色彩検定 公式テキスト』

3冊目が、色彩検定の公式テキストです。タイトルを正式に書くと、内閣府認定 公益社団法人 色彩検定協会[編]『文部科学省後援 色彩検定R 公式テキスト』ということになりそうです。長いですね。

私が持っているのは、その2級編と3級編の2冊です。

この本はもちろん試験対策のための教科書なのですが、普段の創作にも役立つ内容が盛りだくさんなので、ここで紹介してみます。

構成としては、まず色が見える仕組みを解説したのち(目の構造とか光の波長とかの話です)、表色系についての説明があり、その次に、色彩心理や色彩調和・配色イメージといった配色の効果について細かく解説されています。
その後、ファッションやインテリアなどにおける実用的な色の使い方が紹介され、最後に寛容色名の一覧があるという形です。

最初に色が見える仕組みを説明してくれるため、ただ漠然と色を使うのではなく、理屈を理解した上で効果的な配色を考えられるようになります。
私自身、色を「光」として捉えるようになってから、絵を描く時の意識が変わった気がします。

色彩心理や色彩調和、配色イメージなどの項目は、そのまま普段のイラスト制作に活かすことができます。
今まで感覚的に理解していたことを理屈で理解できるようになり、さらには自分で配色を考える助けにもなるので、とてもオススメです。
特に2級のテキストでは、配色の説明が詳しくなされています。

ちなみに個人的には、ドミナント系の配色が好きです。ドミナントトーンやドミナントカラーなど。
それにトーナル配色も好きなのですが、こっち系でまとめようとすると地味になりがちなので、頑張ってもっといろんな色の使い方を覚えようとしているところです。

ファッションやインテリアの説明を見ると、なるほどデザイナーさんたちはこういうことを考えているのか、と勉強になりますね。
絵を描く時にも、適当な服を着せたり適当な部屋を描いたりするのではなく、デザイナーさんになったつもりで、この本に書いてあったことを意識しながら描くと、もっと良いものが描けるのかなと思いました。

この本は、特にデザインをあまり学んだことが無い方にオススメです。
逆に言うと、ある程度デザインの知識がある方にとっては当たり前の内容が多いかもしれません。ただ、読んで損をすることは無いと思います。面白いです。

ちなみにテキストは、こちらのリンク先から購入できると思います。
https://www.aft.or.jp/book/index.php

リンク先の色彩検定のサイトでは、このテキストの他にも様々な情報が発信されているので、たまに覗いてみると面白いかもしれません。
あと、別売りの配色カードが必要だと書かれているのですが、正直、無くてもあまり困らないかなとは思いました。
演習のページで毎回きちんとカードを切り貼りして進めていきたい方は買った方が良い、という感じです。
私は購入しましたが、このテキストを進めるのには使っていません。

  • 2級編はこちら
  • 3級編はこちら

『non-designer’s design book(ノンデザイナーズ・デザインブック)』

4冊目が、Robin Williams[著]/吉田典秀[訳]/小原司・米谷テツヤ[日本語版解説]『non-designer’s design book(ノンデザイナーズ・デザインブック)』(マイナビ)

これも有名なのでご存じの方が多いかもしれません。知り合いのデザイナーの方から勧められて読みました。

先程の2冊が配色中心だったのに対し、こちらは配置に関する話が多い印象です。
近接・整列・反復・コントラストという4原則について、注意事項とともに解説されています。

その後配色の話を少し挟み、後半部分では活字についてガッツリ説明があります。

海外の本なので少し引っかかる部分もあるかと思いますが、日本語版の補足のおかげで分かりやすくなっています。
実例が豊富なので、実際に目で見て分かるというのも嬉しいポイントですね。

実践的なデザインの考え方を学べる一冊です。

イラストに限らず、デザインの基礎をしっかり身に着けたい方にオススメします。

まとめ

以上4冊、デザインの本を紹介してみました。

イラストの描き方に特化したことが知りたい方には、1冊目の『イラスト映えBOOK』
配色で悩んでいる方には、2・3冊目の『配色デザイン事典』または『色彩検定 公式テキスト』
もっと幅広くデザインの基礎を抑えたい方には、4冊目の『ノンデザイナーズ・デザインブック』
がそれぞれオススメです!

他にもデザインの本はたくさんあるので、ぜひ自分に合った1冊を探してみてください。

ではまた次回!

最後まで読んで下さってありがとうございました。