【おじさん顔メイキング】おじさんを描くときに私が気を付けていること(全4ステップ)
突然ですが絵描きのみなさんに質問です。
おじさんを描くの、得意ですか?
私は、好きです。得意な方だとも思います。
中高生の頃は「おじさん好きな人」と認識されていました(笑)
しかしこの記事を読んでいる皆さんの中には、
「おじさんとか興味ないし」
「若者しか描けません」
という方も、いらっしゃるのではないでしょうか?
あるいは逆に
「皺を描けばいいだけでしょ? 簡単じゃん」
と思っている方もいるかも知れません。
しかし、単に皺を描くだけでは少し違和感の残る顔になってしまいます。
そこで今回は、普段私がおじさんを描くときに考えていることをまとめてみました。
ちなみに、私が描くおじさんはこんな感じです。(PIXTAで販売中のもの)
では、さっそく行ってみましょう。
※ちょこちょこ断定口調になっていますが、あくまでも私が意識しているだけです。これが正解とは限らないので、そのあたりよろしくお願いします!
①輪郭に年齢を出す
まず最初に気をつけるべきは、輪郭の形です。
「最後に皺を加えればおじさんになるんじゃないの?」なんて呑気なことを言っている場合ではありません。
勝負は輪郭線の時点で始まっているのです。
(もちろん若々しい設定のキャラはこの限りではありませんが)
おじさんの輪郭は、若者と比べて以下の3パターンに分類されると思います。
- タレ気味
- 太り気味
- 細い
それぞれについて見ていきましょう。
1.タレ気味
タレ気味の場合は、こんな感じです。隣に若者の輪郭を並べてみました。
老いとともに皮が垂れ下がってくるので、よくいるイケメンキャラのようなシュッとした輪郭ではなくなります。
現実ではこのパターンの方がかなり多いのかなという印象です。
2.太り気味
太り気味の場合は、こんな感じです。先ほどと同じく、隣に若者の輪郭を並べてみました。
加齢とともにふっくらとした顔つきになり、なんなら油でちょっとテカっているくらいのイメージです。
お金持ちのキャラや、貫禄を出したいキャラ、あるいは優しげなキャラなどの造形によく使われるのではないでしょうか。
3.細い場合
細い場合は、こんな感じです。
先程とは逆に、食が細くなって頬がこけてくるイメージですね。あるいは、自分で摂生しているケースも有るかと思います。
この場合、顎も比較的シュッとしています。いわゆる「イケオジ」に多いのではないでしょうか。
頬骨の線は描かないことも多いです。描くにしても、陰影だけで表現して線画は描かないとか。画風によりますが。
気を付けているのは、「皮が骨に貼りつく様子」をイメージすること。
単に細くするだけだと若者と変わらないので、骨の形を出しながら描くと、よりおじさんっぽくなると思います。
まあ普通にこういう輪郭の若者もいますが、おおよその傾向ということで細かいことは気にしないでください。
今回は、3.細い場合の顔を採用して、次のステップに進んでみました。
②顔のパーツをおじさんっぽくする
次に、顔のパーツを描いていきます。
個人的には、この工程が一番大事だと思います。皺を描かなくても、それらしいパーツを描くことができれば、それだけで年齢を表現できるのです。
意識している点は2つです。
- 目を小さめに描くこと
- 目の位置を低くしすぎないこと
顔のパーツと言うよりも、「目」の描き方ですね。
1.目を小さめに描く
子供や若者、特にイケメン/美少女キャラを描く時には、わざと目を大きくする人が多いと思います。
しかしおじさんでそれをやってしまうと、どうにも違和感が生じます。
というのも、加齢とともに皮膚が垂れ下がったり、目元が落ち窪んだりすることで、目は小さく見えるはずだからです。
デフォルメするにしても、若者と比較したときに同じ大きさになっていると、違和感が生じます。
そこで、意識的に目を小さく描きます。
あるいは、目の大きさを変えずに黒目だけ小さくするという手法もあります。
2.目の位置を低くしすぎない
これについては分かりやすいかもしれません。
子供を描く時には、目を低い位置に描いて可愛らしさを表現しますよね。
デフォルメしたイラストの場合、中高生くらいでも幼く描くケースが多いと思います。
しかし、おじさんでそれをやってしまうと、やはり不自然です。
そこで、おじさんの目は気持ち高め(リアルに近い位置)に配置します。
以上の2点に気を付けながら、顔のパーツを描いてみました。
………普段から線画をキレイに書くタイプではないので、細かいところは見逃してください。
この絵柄だとリアルに寄っていますが、下のように簡略化して描くこともできます。
③髪の毛を描く
髪の毛の描き方も、若者を描く時とは異なります。
端的に言って、ハゲます。
ただ、露骨に生え際を後退させるとそれはそれで不自然なので、私は以下の4パターンに大別して描いています。
- 前髪を上げる
- 超短髪にする
- いっそ長髪にする
- バーコードやカッパなど、特徴的な髪型にする
それぞれについて見ていきましょう。
1.前髪を上げる
前髪を上げると、以下のようになります。オールバックにしたり、2つに分けておでこを見せたり。
前髪を上げると、おしゃれな印象や、爽やかな雰囲気を出せるような気がします。
この人の場合は顔つきが貧相になってしまったので微妙ですが、表情や服装を工夫すれば爽やかになるんじゃないかなという感じです。
2.超短髪にする
シンプルにこんな感じです。ツーブロックにしても良いと思います。これも、前髪を上げるときと同様に爽やかな印象があります。
超短髪って言うのとは違いますが、七三分けでもいいかもしれませんね。
3.いっそ長髪にする
映画『ホビット』にこんな感じの髪型の人がたくさん出てきた気がします。外国の方や、ファンタジーのキャラに多いイメージです。
現代日本を舞台にする場合、おしゃれに強いこだわりがあるキャラや、あるいは逆にものすごく無頓着なキャラを長髪にすることが多いかなと思います。
あとは、仙人みたいな神秘的な雰囲気も出ますよね。
うまく描けると非常にかっこいい髪型なので、うまく描きたいです(笑)
4.バーコードやカッパなど
以下のような感じです。
テンプレ的なおじさんを描く時に、よく使います。
④皺を描く
ここまで来たら、ようやく皺を描きます。でも正直、皺は無くても良いかもしれません。
ちなみに私がほうれい線よりも大事だと思っている皺は、「目元の皺」です。
少し、下の絵を見てください。
左が、ほうれい線を描き込んだもの。右が、目元の皺を描き込んだもの。
ほうれい線を描いた方は、少し不自然に見えませんか?
これは個人的な感覚なので、「いや別に?」っていう場合には左のようにしても良いのですが、私はどうしても違和感を覚えてしまいます。
そのため、右のように目元の皺を描くことが多いです。
さらに年齢を重ねる場合は、目元の皺の数を増やしていきます。
また、口元にも皺を描きます。口元の皺を描くのは、ぽちゃ気味の人の時にもやりますね。
あとは、額とか眉間とか、鼻筋とか………そのあたりを描き込みます。
以下のような感じです。
ほうれい線を描くのは、さらに年配の「おじいちゃん」世代の人を描く時かなと思っています。(あるいは必死な表情をしている時など、状況によりけり)
④着色
デフォルメが強い絵柄の場合は気にしなくて良いのですが、そうでない場合には着色にも差を付けます。
まず、髪の毛。
年齢やキャラ設定にもよりますが、真っ黒よりは白髪交じりにしたり、グレイにしたりしたほうが良いような気がしています。
でもまあ、50代くらいなら真っ黒でもいいかな……という感じです。染めてる人もいますしね。
次に、肌。
加齢を強調したいキャラなら、テカらせて油ギッシュにしたり、逆にテクスチャを工夫してカサカサに見せたりすると、おじさんっぽくなると思います。
そこまで老けて見せたくない場合には、普通に塗ります。
最後に、全体的なトーンについて。
どうしても、彩度を高くすると違和感が生じがちだと思います。
そのため、全体的に彩度を落として、落ち着いた雰囲気にすることが多いです。
若々しいエネルギッシュなキャラなら、ギラッギラの配色でもいいと思います。
以上3点に気を付けて塗ったのが、コレです! 生気がない!笑
アレンジすれば、もっと色々できると思います。最初に上げた3枚の絵も、同じ考え方で描いたものです(再掲)
こんな感じで、以上、自分がおじさんを描く時に気を付けていることをまとめてみました。
よかったら参考にしてください! また次回!
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